2000年各界新春メッセージ


対米追随やめ、アジアと安全保障を
自主・平和・民主のための広範な国民連合全国世話人
槙枝 元文

 昨年の暮れ、中国の江沢民主席とロシアのエリツィン大統領との首脳会談では、世界の一極支配を排して多極化を追求するとの共同声明を発しました。
 ヨーロッパでは、欧州連合(EU)が、通貨の統合によって経済的国境をなくす一方、米国が主導権をもつ北大西洋条約機構(NATO)とは別に、EU独自の軍隊の創設による安全保障体制の構築をめざして、話し合いをはじめています。
 また、昨年十一月末の東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会談では、議長国であったフィリピンのエストラダ大統領から、これまでの経済協力とともにASEAN地域の安全保障体制についての話題が提起されたと伝えられています。
 これらの世界の動きは、冷戦構造が終わり、米ソ両超大国を頂点とする二極支配が崩壊した後、ドルと軍事力を背景に、世界の警察官を自認して、世界の一極支配を企図した米国の世界戦略に対する忌避の反応が、世界各地に芽生えつつあることを意味するものと解します。
 こうした世界の動向には目もくれず、ひたすら権力維持のため、議会内での多数派形成(数合わせ)に汲々(きゅうきゅう)としている日本の政界の現状をみるにつけ、二十一世紀に生きる日本の未来が危ぶまれてなりません。
 歴代首相がアジア各国を歴訪してODA予算をバラまいても、国連安保理の常任理事国入り問題にみられるように、日本に対する信頼と積極的支持が得られない最大の要因は、主体性なき米国追随の日本政府の姿勢にあると言わざるを得ません。
昨年暮れの村山訪朝団によって日朝国交正常化への窓口が開かれた背景には、先の米朝会談を通じて米国の対北朝鮮政策の転換による米国からの「指示」と、南(韓国)の支持があったからではないでしょうか。
 二十一世紀に向けて、日本は独立国家として自主的な第一歩を踏み出し、米軍基地を縮小・撤廃し、日米安保条約を解消して米国の世界戦略構想下から脱却し、安全保障は遠くの親戚に頼らず、まずは近隣の中国、朝鮮(南北)、ロシア(沿岸地区)と日本との「北東アジア安全保障機構」(仮称)をつくり上げることにこそ全力を注ぐべきではないでしょうか。
 私は二十世紀最後の年を、中国、ベトナム、モンゴルとの経済協力、技能交流事業の拡大・発展と、日朝国交正常化、朝鮮の自主的平和統一の実現。日本の各界各層を網羅した「自主・平和・民主のための広範な国民連合」に微力ながら情熱を傾ける決意です。


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