2000年各界新春メッセージ


侵略、平和・人道への犯罪と共に闘おう
駐日ユーゴスラビア連邦共和国大使 ラドスラブ・ブライッチ

 最初に、二〇〇〇年の新年のメッセージを読者の皆様に伝える機会を与えて下さった労働新聞に、心から感謝申し上げます。
 新千年紀の前夜に、主権の平等、真の民主主義、法の支配、開かれた社会と市場、共有の価値と繁栄に基づいた公正な世界秩序が、正当に、広範に期待されています。
 そのような新しい世界は多角的で、支配、脅迫、圧力、経済制裁から、自由で開かれた社会と市場、自由で公正な世界貿易制度など、もっと均衡のとれた発展に基づかねばなりません。この崇高な目的は、解決法と利己主義を押しつけ、戦争を仕掛け、人道的破局を引き起こすことによってではなく、人間の価値を尊重し、すべての争いと紛争の解決に政治的平和的手段を適用することによって、達成することができるのです。
 残念なことに、今日の世界は依然として次のような問題で苦しんでいます。
 地域紛争、局地的戦争、急進的国家主義、宗教的原理主義、テロリズムと分離主義、民族的暴力、いくつかの強国による力の不法な使用、集団移住、環境悪化、組織犯罪、不法な麻薬と武装の取引、金融危機、生活水準の発展といっそう増大する格差。
 これらの問題に対処し、解決するには、真の時宜を得た予防外交、偏らない仲裁、国際社会全体としての包括的政策と共同の努力が適応されるべきです。それが唯一人間的で、軍事介入と紛争後の平和維持活動よりもはるかに効率的で安価な方法です。
 今こそ私たちは、これらの問題を扱い、人道援助と世界から貧困を除去するのに、そのようなばく大な金額を利用する時ではないでしょうか。
 一九九九年は他の悲劇的な出来事の中にあって、独立主権国家であり、国際連合の創設メンバーであるユーゴスラビア連邦共和国に対する、前例のない正当化できない北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆戦で記念される年だと申し上げたいと思います。
 七十九日間の空爆のもっとも重大な結末は、以下のように記録されています。

・数千人の民間人(三〇%が子供)が殺され、三千人が重傷を負い、そして数十万人が有毒ガスにさらされました。
・六十万人以上の労働者が職を失い、二百五十万の市民は個人収入がなくなってしまいました。
・七百カ所以上の病院、学校、工場、中世の修道院、文化的歴史的記念物、テレビ局、主要水道、ガス及び電気供給ネットワーク、橋、道路、空港が被害を受けたり破壊されました。

 物的被害の集計は、外国の専門家によってさえも一千億ドル以上と見積もられています。
 これらの悲劇的死傷者を念頭において、私たちは今こそ、このような侵略行為と平和と人道に対する犯罪を、私たちの愛する地球上で起きるのを永久に防止するため、共に闘おうではありませんか。
 私は強調したいのですが、わが国の基本的政策目標と優先事項は、いつも地域とこんにちの世界における平和、安全、協力および繁栄でした。したがって、その権利と国益を守るだけでなく、採択された和平協定および旧ユーゴスラビアの危機に関する国連安全保障理事会決議からのすべての責務を完全に履行する用意があります。
 ユーゴスラビアはまた、主権の平等と国連憲章と国際法の原則に基づいて、あらゆる国との友好関係と互恵の協力を維持する約束を守ります。
 ですから、私たち二国間のいっそうよりよい理解と友情、全分野での友好的な相互関係と互恵の協力をさらに強化させ、発展させることに、私は重きを置くものです。
 すべての国家および国民の平和と繁栄が、新しい千年紀と、よりよい戦争と争いのない未来社会の唯一のシンボルになりますように!
 平和が地球にあまねく行き渡るように希望して、共に祈りましょう!
 労働新聞と読者の皆様にとって、よい年でありますように。


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