20001205

書籍紹介

沖縄の不屈の闘い語る

「沖縄史を駆け抜けた男」 福地 曠昭著


 本書は、著者がどのような人生を経てきたかをつづったものである。
 一九三一年、沖縄ヤンバルの大宜味村に生まれた著者の少年時代は、人並みの「イモとはだし」の生活だったという。
 そうした著者に影響を与えたのは、当時沖縄でもっとも「先進的な部落」であった村の雰囲気であった。第一次大戦後、村には「刷新同盟」が結成され、村長の不正との闘いがあったという。
 戦後、本土の大学に入学した著者は、五六年の夏休み、突然米軍に連行され、「共産党に属しているか」と詰問されたあげく、米軍によって本土渡航を拒否された。著者はこうして、「自分と同じような目にあっている人たちを救済するのが、自分の使命だと思うようになった」という。この後、著者は沖縄人権協会を設立、さらに復帰運動の先頭に立つことになる。
 復帰運動に関する記述は、さすがにリアルである。右翼による事務所荒らし、放火、暴行などもすさまじい。著者自身も六六年、太ももを刺され、ひん死の重傷を負っている。
 本書は、いまも米軍基地に反対し闘い続ける著者、そして沖縄県民の不屈の魂の書ともいえるだろう。(K)


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