20001125

日朝国交実現の国民運動を


 南北朝鮮首脳会談や米朝交渉など、朝鮮半島は緊張緩和の流れにある。しかし、わが国政府は「拉致(らち)疑惑」やミサイル問題に固執し、真剣に日朝国交回復を進めようとはしていない。この問題は、わが国の自主的な進路の実現にとっても重大な課題である。そのためにも、謝罪と補償に基づく早急な国交正常化を求める国民的運動の発展が重要である。神奈川、愛知など、各地で国交正常化を求める集会が取り組まれた。


神奈川 一日も早く国交正常化を
つどいに100人が参加

 「日朝国交促進かながわの集い」が十一月十八日、横浜市で行なわれ、約百人が参加した。主催は、武者小路公秀・フェリス女学院大学教授を代表とする実行委員会。
 集いでは、「県朝鮮人強制連行真相調査団」の原田章弘氏が開会のあいさつと司会を行なった。原田氏は、「六月の南北朝鮮による首脳会談以降、日朝の国交促進を求める集会は神奈川ではこの集いが初めてだ」と、集いの意義を強調した。
 来賓として、高義甲・朝鮮総連県本部副委員長があいさつ。「神奈川では川崎、相模原、藤沢、茅ヶ崎、大和の五市が、朝日国交促進を求める朝鮮総連の陳情を採択した。三十六年間の長きにわたる植民地政策の謝罪と補償をすみやかに行ない、国交を正常化するよう、日本政府に決断を求めたい。この集いが日朝国交促進運動の大きな契機になることを願う」と、エールを送った。
 続いて、県日朝友好議員連盟第六次訪朝団の団長として、先ごろ朝鮮民主主義人民共和国を訪問した武田郁三郎県議が、「最近の北朝鮮は、これから朝鮮の統一をはかりながら自分たちが主役になるんだという、はつらつとした雰囲気に満ちている」と、生き生きと報告した。
 政党あいさつの後、日朝国交促進を政府に要望する議会決議を上げた相模原市長と同市議会議長のメッセージが紹介された。
 各界からは、横須賀のNEPAの会代表の清水昭司氏が発言。「南北朝鮮首脳会談後も、日本海では米日韓が共和国を対象とした共同軍事演習を行なっている。これが米国の本音だ」と指摘。「米国は常に国外に敵を求めてきた。北朝鮮あるいは中国を戦争の標的として考えている。米国がたくらむ戦争は、ぜひともやめさせたい」と、決意を述べた。さらに、「アジア諸国との友好を確立していくことが最高の日本の安全保障」と語った故宇都宮徳馬・参議院議員の言葉を引用し、日朝国交実現の重要性を訴えた。
 そのほか、基地撤去をめざす県央共闘会議の二分野治氏、日朝友好美術展事務局長の岩田昭三郎氏などが発言した。
 声楽家の申桃月さん、舞踊家の金英蘭さん朝鮮の歌と踊りの後、会場発言でも活発な意見が多数寄せられた。
 最後に、伊藤成彦・中央大学教授が「国交が実現しない背景には、日本人の朝鮮人べっ視の考え方がある。国交実現のためには、政府を変えていかなければならない」と問題提起した。
 「一日も早く日朝国交の正常化を実現し、今世紀前半の忌まわしい歴史を清算し、朝鮮半島の人びととの友好関係と北東アジアにおける平和と緊張緩和を確立するよう、政府の決断を強く要望いたします」などとする要望書を採択後、「今後のアジアを考える上で、いま、はっきりとした態度を世界に対して表明することが非常に大事な時期」と竹田四郎・国民連合神奈川代表が閉会のあいさつを行なった。


愛知・三重
広範な国民連合が集会
正常化の世論大きく

 「日朝国交正常化の早期実現を求める集い」が十一月十八日、名古屋市で開催された。会場には、労働者・市民などが参加した。
 この集会は自主・平和・民主のための広範な国民連合・愛知が主催したもので、国会議員や自治体首長などからも多数の祝電・メッセージが寄せられた。
 集会では、「日朝教育文化交流をすすめる愛知の会」の木村睦路事務局長が来賓としてあいさつしたほか、「愛知県朝鮮人強制連行真相調査団」の豊田弘事務局長、「ハムケと共にコンサート実行委員会」の櫛田孝一郎氏、日朝協会愛知県連合の小出裕事務局長、朝鮮総聯の李博之・国際統一部長など、各界からの発言があった。
 また基調講演では、前田康博・北九州大学教授が「朝鮮半島の今日、問われる日本の自主外交」と題して講演を行った。
 前田氏は、緊張緩和が進む北東アジアで、日本がいまだ冷戦構造から抜け出せず、米国に追随する外交を続けていることを指摘した上で、広範な国民の連携した力こそが政治を変えることができると、運動の展望にも触れた。
 集会の最後には、過去の過ちの清算を前提に日朝国交正常化の早期実現を求める集会アピールが採択された。
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 自主・平和・民主のための広範な国民連合・三重第四回総会が十一月十八日、伊勢市で開催され、労働者や市民などが参加した。
 総会後に「今、日朝関係を考える」としたパネルディスカッションが行われた。
 パネラーの森田治・日朝友好三重県民会議会長は、今年八月に食糧支援のコメ六十トンなどを持って訪朝した際のもようや、自身が県議会議員当時に北朝鮮への食糧支援をすべきであると主張したことなどを報告した。
 またクヒィグン・朝鮮総聯三重県本部委員長は、この間の南北朝鮮の経過について、「統一の日をこの目で見るまでがんばろうという希望がわいてきた」と、心情を述べた。
 会場発言では、「謝罪と補償を行い、一刻も早く日朝の国交正常化を」「そのためにも国民世論を盛り上げなければ」など、熱心な質問や意見が出された。


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