20001115

神奈川 県の自動車税増税案に県民の怒り

自販協会などが反対強める


 神奈川県は、県の「財政難」を口実に、県の独自課税として今春以来、自動車税増税を策動してきた。ところが最近、同案は広範な県民の反対により、十二月議会での提出が困難とみられている。岡崎洋知事は、県内各地で「県民集会」を開催するなど世論誘導を狙ったが、逆に県民の怒りにあった。財政難は、「みなとみらい21」など大規模開発のツケにほかならない。その責任こそ明確にされるべきで、県民への増税は許されない。県自動車販売店協会などは新聞全面広告を行うなど、反対行動を強めている。


 岡崎知事は、「県財政が五年後には一兆百五十億円もの巨額の赤字になる」などとし、自動車税の超過課税、法人事業税の外形標準課税を含む「財政健全化のための税制改革基本構想(グランドデザイン)素案」を打ち出した。
 これが県民の反発を受けるや、すぐさま自動車税標準税率の一律一・一倍、一・二倍、一・五倍の三案に「軌道修正」、さらに事業用車両を対象外とするなど、県民世論の分断を狙ってきた。
 だが、県民の怒りは根強い。神奈川県が世論誘導のために十月下旬から県内各地で行った「県民集会」では、増税への批判の声がわき起こっている。
 「自動車を所有することに課税するのは不公平」「赤字路線バス廃止の動きがある中、生活の足となる車にかけるのは疑問」「外形標準課税は、小企業への配慮があるのか」「財政破たんの原因と責任を明らかにしないまま増税するのは納得できない」などの切実な声に、県当局は満足に回答できなかった。
 県自動車販売店協会、同軽自動車協会は十一月十日、「(増税案は)単なる『環境』と『安全』に名を借りた赤字穴埋め対策」「今後もさらに反対運動を活性化させ、条例実現を阻止する」などとする新聞全面広告を行うなど、県政への批判を強めている。
 県議会でも、自民党でさえ「時期尚早」と言わざるをえず、十二月議会への条例提案は、事実上不可能な情勢となっている。
 そもそも、「景気が悪化し税収が減った」という県の言い分は、知事の責任を放棄する無責任なものである。また、県税収入が八五年の一・三倍でしかないにもかかわらず、投資的経費は一・八倍となっているなど、県は大企業のための大規模開発を続けてきたのである。安易な財政運営を行ってきた県の責任は、まことに重大だと言わねばならない。
 知事は自動車税増税分を「環境対策などに使う」というが、それが必要であっても、財政支出には優先順位がある。県民の生活困難にこそ、財政を支出すべきである。
 労働党神奈川県委員会(山本正治委員長)は、各「県民集会」での宣伝行動など、幅広い県民運動を呼びかけている。増税を策動する岡崎県政を追いつめる、県民運動の高揚がさらに求められている。


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