20001115

日米合同演習に全国で反撃


 一九八六年以来六回目となる日米共同統合演習が十一月二〜十八日、全国で米軍・陸海空自衛隊員計二万人が参加し強行されている。本演習は、昨年春の新ガイドライン関連法制定後初の統合実動演習であり、日米軍事協力の拡大、新ガイドラインを具体化するものとして展開されている。米国に追随しわが国をアジアと敵対させる危険なものである。これに対し、宮城、滋賀、山口など全国で労働組合を中心に抗議行動が繰り広げられた。これらは、わが国の進路にかかわる重要な闘いである。


 今回の訓練は、十月二十五日から十一月三日まで行われた米韓合同演習を引き継ぐもの。
 共同演習と並行し、北富士演習場での米海兵隊実弾演習や航空自衛隊の総合演習も行われ、日本全土が新ガイドライン具体化の演習場と化した。今回は、周辺事態を想定した「米兵救助」や「在外邦人輸送」訓練、対ゲリラ訓練などが初めて実施された。

宮城・王城寺
500人が実弾訓練に反対


 宮城県王城寺原演習場では、十一月六日から九日まで、日米合計約千五百人による対戦車火器や迫撃砲などによる実弾砲撃訓練が行われた。また十二日からは、七十二時間連続で物資投下などの総合訓練が強行された。同演習場での日米共同訓練は六年ぶり七回目。
 県平和労組会議、県護憲平和センターなどは五日、近隣の大和町で、五百人が参加して演習反対集会を開催した。集会では、「昨年まで三年続いた沖縄駐留米軍の実弾砲撃訓練に続く今回の共同訓練の強行は、住民感情を逆なでするものだ」などの発言があった。集会後、参加者は演習反対を訴え、デモ行進した。

滋賀・あいば野
演習に抗議し基地包囲


 滋賀県のあいば野演習場では、米陸軍・陸上自衛隊による合同演習が行われた。
 「日米合同軍事演習を許すな! とめよう戦争への道 あいば野集会」が十一月十二日、基地に隣接する今津町で行われ、地元滋賀をはじめ大阪、京都など関西一円から労働組合や市民が約千人参加した。
 集会では、静岡県浜松の「NO! AWACSの会」と国労音威子府闘争団があいさつがあり、岩国や韓国、沖縄のヘリ基地反対協議会のメッセージが紹介され、参加者の拍手を受けた。
 参加者は、「日米合同軍事演習を許すな」「琵琶湖を軍靴で荒らすな」などのシュプレヒコールをあげて今津駐屯地までデモを行い、周囲一キロ以上の駐屯地第二営舎をヒューマン・チェーン(人間の鎖)で包囲した。
 同演習場が位置する浅井町と永源寺町議会では演習反対決議を採択するなど、県内の自治体も含めて反発が広がっている。

山口・岩国、福岡・築城
「救助」訓練に反対

 山口県岩国基地では、紛争地域から輸送機などで在留邦人の避難を想定した輸送訓練が七日、行われた。これは新ガイドランに基づく日米協力項目の一つで、民間人を輸送する訓練は初めて。また、日米共同統合演習に岩国基地が使用されたのも初めて。
 また八日からは、山口県、福岡県の日本海上で、遭難した米兵を自衛隊機が救出・搬送する訓練が行われた。
 これに対し、県平和運動フォーラム、「ピースリンク・広島・呉・岩国」など約三十人が七日、「周辺事態法の発動は許さない」などと書かれた横断幕を掲げて演習の即時中止を要求、要請文を読み上げた。
    *    * 
 福岡県の航空自衛隊築城基地では、岩国基地と連動した「救助訓練」が行われた。
 部落解放同盟、京都地区労、市民団体などが参加する「京築住民の会」は、共同統合演習初日の二日、基地前で約三十人が座り込み行動を行った。また、訓練の行われた七日にも、岩国での行動と連携して抗議行動を行った。

長崎・佐世保
地区労が250人のデモ


 長崎県佐世保基地では、十日から艦船による在外邦人の輸送訓練が行われた。
 佐世保地区労主催の「日米共同統合演習反対! 佐世保地区集会」は六日、約二百五十人が参加して開かれた。谷村・地区労議長は「自衛隊が米軍の支援をする演習は、朝鮮半島の緊張緩和に逆行するもので許せない」などと呼びかけた。集会の最後には、「演習は戦争協力体制の既成事実づくりで、許すことはできない」などとする決議文を採択、参加者は市内をデモ行進し、市民に訴えた。


不誠実な米軍・自衛隊に怒り
岩田 順玄・岩国市議


 岩国では演習中止の要請行動を行ったが、私たちの当然の権利に対し、米軍はまったく応対しなかった。これは予想できたが、海上自衛隊までも一時要請文の受け取りを拒否した。これは絶対許せないことなので、基地前で相当抗議した。三時間後、広報室長が「不勉強だった」と、わざわざ山口市内まで要請文を受け取け取りに来た。
 九月には事前予告なしに夜間連続離発着訓練(NLP)も行われており、今回の訓練も市から何も連絡はない。周辺事態法に基づくこうした動きを許さず、これからも運動を続けていく。

築城基地に反対し毎月行動
渡辺 博子・平和といのちをみつめる会代表


 「平和といのちをみつめる会」は、京築住民の会に参加する市民グループだ。住民の会には、部落解放同盟京都・行橋地区協議会などが参加しており、みつめる会がはきわめて行動的だ。
 毎月二日、築城基地前で基地撤去を求めて行動を行っているが、今回は共同演習の初日でもあり、演習中止を求めて座り込んだ。七日には、岩国基地前で行動しているグループと連絡をとりながら、抗議行動を行った。これからも毎月の行動を続けていくつもりだ。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000