20001105

京都 朝鮮の統一支持全国集会
 中江要介(元駐中国大使)が記念講演

自主外交で日朝正常化を


 朝鮮半島における緊張緩和は大きく進んでいる。オルブライト米国務長官の朝鮮民主主義人民共和国訪問、欧州諸国の国交交渉表明などの動きにもかかわらず、わが国の北朝鮮との国交正常化交渉は遅々として進んでいない。日朝との国交を早急に実現し、アジアと共生する外交政策は、ますます重要となっている。こうした中、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会の全国集会が京都で開かれた。


 「朝鮮の平和統一・日朝国交正常化実現! 朝鮮統一支持運動第十九回全国集会」が十月二十八〜二十九日、京都市で開かれた。主催は、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会。
 全体会は、山中高吉・京都委員会代表委員の司会で始まり、はじめに朝鮮対外文化連絡協会代表団の入場と花束贈呈が行われた。
 主催者あいさつを行った槙枝元文・日本委員会議長は、「日本と朝鮮は地理的にはもちろん、過去の歴史からしても、日本側がいち早く過去を清算して国交正常化を図り、北東アジアの平和と繁栄に寄与すべきだ。しかし、日朝間の話し合いが遅々として進まない現状には、憂慮を禁じえない」と述べた。さらに、「わが国政府は米国の世界戦略に追随して、朝鮮半島の緊張を口実に日米安保を強化してきた。さらに、新ガイドラインに基づく周辺事態法をはじめとする有事法制の整備にやっきになっている。日朝の正常化はこうした動きと矛盾するため、あえて国交回復に躊躇(ちゅうちょ)しているのではなかろうか」と、朝鮮との交渉を真しに行わない日本政府を批判した。
 あいさつしたチョン・ユンヘ・朝鮮対外文化連絡協会代表団長は、「私たちは、南北朝鮮のどちらもが他方を併合することのない連邦制による統一を支持している。日米両政府は、朝鮮半島の分断に責任があることを認識してほしい。また、過去のように統一を妨げることをしないよう願っている。朝鮮民族は、外部勢力の干渉を決して許さない。このような日本の運動は大きな励みになる」と述べた。
 続いて、中江要介・元駐中国大使が「東アジア二十一世紀の展望」と題して記念講演を行った。
 中江氏は「北東アジアには、太平洋戦争とそれに続く東西冷戦の後遺症が残っている。一つは、朝鮮半島の南北平和共存、または統一による真の独立が実現していないことだ。二つめは、台湾を中華人民共和国領土の不可分の一部とする統一が実現していないことだ」と述べた。
 さらに「東南アジアでは東南アジア諸国連合(ASEAN10)が実現し、ミャンマーや東チモールに若干問題を残しつつも、地域協力が着実に前進している。従って二十一世紀の課題は、北東アジアにおいては朝鮮半島の独立を円滑に実現すること、東南アジアにおいてはASEANおよびASEAN地域フォーラム(ARF)を順調に発展させることだ。その上で、北東アジアと東南アジアを合わせた東アジア全体を対象とする、一つの政治的・軍事的・社会的・文化的な連帯を実現する方向に進むべきである」と鮮明に述べた。
 最後に「日本としては二十一世紀を迎えるいまこそ、自主独立の外交を進め、東アジア諸国の信頼と友好を最優先にするよう心がけ、二十一世紀の東アジアの平和と安全と繁栄に貢献すべきである」と、わが国の進路を提起した。
 全体会の終わりには、朝鮮半島の統一を願う歌「私たちの願い」が合唱された。翌日には分科会も行われ、朝鮮の自主的平和統一を支持するわが国世論の形成に、大いに役立つ取り組みとなった。


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