20001025

普天間・那覇軍港の即時返還を
 県民大会に2000人が参加

県内移設、断じて認めぬ


 普天間基地の名護への移設を強行しようと、政府、稲嶺・沖縄県知事は移設のための協議会を開催するなど、既成事実づくりを進めている。これに対し沖縄県民は、七月の嘉手納基地包囲行動に続いて十月二十一日、県民総決起大会を成功させるなど、新たな闘いを開始している。全国でも、これと連帯し、米軍基地撤去を求める闘いを強めなければならない。県民大会のもようと、新たに県民会議共同代表となった山内徳信・前県出納長の話を紹介する。


 「普天間基地代替施設協糾弾! 名護市へのあらたな基地建設に反対する県民総決起大会」は十月二十一日、「普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議」の主催で那覇市で開かれ、平和運動センターなど約二千人の労働者・市民・女性団体などが参加した。
 主催者あいさつを行った山内徳信・県民会議共同代表は「ヘリ基地を許さない闘いは正念場だ。国際的な会議でも、名護市沖に生息するジュゴンを保護する勧告が採択されている。南北朝鮮の平和的統一も進みつつある。名護市への普天間基地移設は、歴史に逆行する行為だ」と、闘いの継続を訴えた。
 また、新崎盛暉・平和市民連絡会代表世話人は「われわれの運動は米軍基地の整理縮小・撤去である。これを鮮明にさせて闘おう」と述べた。
 名護の安次富浩・ヘリ基地反対協議会代表委員は「政府、県は、代替施設協議会を開くことで既成事実をつくり、基地を押し付けようとしている。市民自身の手で、ヤンバルの自然を生かした町づくりをしよう」と訴えた。
 大会では、「名護市へのあらたな基地建設に反対する決議」を満場一致で採択。日米地位協定の抜本見直しや海兵隊即時撤退などを求めた十項目のスローガンも採択、大会後は県庁前までデモを行った。


大会決議(要旨)

 県民を無視し続け、新たな基地建設を強行しようとする政府を私たちは許すことができない。知事や名護市長が政府に追随し、基地建設を受け入れることを認めない。名護に、沖縄に、日本に民主主義はあるのか。名護市長は市民の、知事は県民の意思を尊重するのが当然ではないか。
 九五年のこの日、私たち県民は何を誓ったのか。悲惨なあの事件、それは氷山の一角に過ぎなかった。もう二度と繰り返させないと誓ったのではなかったか。私たちはもう一度原点に戻り主張する。
 南北朝鮮は、自主的・平和的統一に向け「対話」を始めた。在日・在沖米軍の駐留の意味がなくなりはじめている。沖縄にあらたな基地はいらない。


国民ぐるみの運動への一歩
山内徳信・県民会議共同代表(前県出納長)

 今回の総決起大会には、革新政党や労組、市民団体などが参加している。
 サミットまでは、普天間基地移転の動きは物静かだったが、最近は国や自治体による、移設のための「代替施設協議会」が開催されている。本大会では、その協議会を糾弾し、名護への移設に反対するものだ。
 ヨルダンで開催された国際自然保護連合(IUCN)の会議では、希少動物のジュゴンやヤンバルの森を守るための決議が採択された。日米政府は退席したが、全会一致だった。米国内でも、希少動物を守るため、ダム開発計画が中止されたりしている。一部だが、海兵隊削減の動きもある。国際的には、私たちの闘いはよい環境に向かっている。
 政府も動いているが、こちらも動いているので、闘いは続くだろう。五〇年代の基地拡張に対しては沖縄で「島ぐるみ」の闘いが行われた。しかしこれからは、名護市民だけの問題でも、沖縄県民だけの問題ではない。少なくとも、国民ぐるみの運動を繰り広げるしかない。県民大会は、こうした方向に運動を広げる一歩だ。
 いまの政治には民主主義も人権もない。米国とともに、戦争への道に進んでおり、これに反省のチャンスを与えるのは、名護移設反対の闘いしかない。この意味で、県内移設反対運動の意義は非常に大きい。
 住民を無視するような、時代に逆行する政治は通らないということを、おごれる政治家に思い知らせる必要がある。私たちは負けられないし、いいかげんな妥協をすることはできない。


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