20001025

日朝国交正常化
 隅谷三喜男氏(東大名誉教授)、中江要介氏(元駐中国大使)、
三木睦子氏、吉田康彦氏(北朝鮮人道支援の会)などが呼びかけ
各界が共同して緊急集会

過去を清算し、即時実現を


 六月の南北朝鮮首脳会談以来、朝鮮半島の民族和解と自主的平和統一の動きが急速に進んでいる。さらに米朝会談により敵対関係の解消、米大統領の訪朝準備が決定され、米朝関係は大きく進展した。さらに英、独、スペインなども北朝鮮との国交正常化に意欲を示している。だが、わが国政府は日朝交渉において「拉致(らち)疑惑」問題を繰り返しもち出し、交渉は前進していない。日朝国交正常化は、日朝両国だけでなくアジアの平和やわが国の進路にも大きな影響をおよぼすものである。そのためにも、政府は過去の侵略、植民地支配を謝罪し、補償すべきである。それを前提とした早期の日朝国交正常化こそ、わが国がアジアの信頼をかち取り、アジアと共生する道であり、国益にかなうものである。そうした中、十月十九日に東京で「日朝国交正常化の早期実現を求める緊急集会」が開催された。こうした運動の全国での発展が求められている。


謝罪・補償は当然のこと
朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会 槙枝 元文議長

 六月の南北首脳会談で朝鮮半島の緊張緩和、平和統一は大きく動き出した。だが、日朝国交正常化については遅々として進んでいない。そこで、さまざまな立場で日朝国交正常化を促進する運動を進めるためにこうした集会を開催した。
 朝鮮半島の動きは大きく変わり、米朝が敵対関係を解除することで合意し、米大統領が訪朝するようになった。そこで、敵対関係を解除したのだから、経済封鎖を次第に取り除くだろう。また、米国は北朝鮮の「テロ国家」規定をやがてはずすだろう。
 しかし、こうした中で、日朝関係はどうなるだろうか。
 北朝鮮は日本が戦争責任を認めることと、謝罪と補償を要求している。だが、日本政府は「拉致疑惑」や「ミサイル問題」を持ち出し、入口で止まっている。
 なぜ、そうなるかといえば、日本政府は「植民地支配というが、あれは和気あいあいのうちに結んだ条約だから、謝罪の必要はない」という立場だからだ。また、補償についても、経済協力にしてくれ、という。これが日本政府の一貫した態度だ。
 しかし、日本の朝鮮植民地支配は言葉を取り上げ、名前を取り上げ、朝鮮の歴史を圧殺した。これは世界史上例のないものだ。その上、強制連行による強制労働、従軍慰安婦問題などがあり、これに対して一切補償していない。
 こうした問題は当然、日本が謝罪し、補償すべきである。そうしてこそ、日朝国交正常化交渉は進展することができる。
 また、そうした政府の態度がアジアからの信頼を得ることにもつながる。そうして初めて日本がアジアと共生する方向に役立つことになる。そうした世論をつくるためにがんばりたい。


問われる政治家の決断
朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会
清水 澄子氏

 南北首脳会談において、朝鮮民族の利益を優先し、自分たちの言葉で今後の南北緊張緩和や平和統一が話し合われた。私たちにも大きな感動を与えた。政治家がその力量を発揮することで、南北のあの軍事的対決状態から大きく転換させた。そして、南北間の関係改善は急速に進んでいる。やはり、政治家の意思が強固であれば、民族の意思を生かすことが出来ることを示した。われわれも見習う必要がある。
 そして、米米大統領の訪朝も実現する動きとなった。米朝も敵対関係を清算するところまできた。朝鮮半島が大きく変わろうとしている。
 金大中・韓国大統領も日本にも早く北朝鮮との正常化を進めてほしいと言っている。しかし、日本政府の交渉態度はきわめて遅い。
 北朝鮮は戦争責任について謝罪と補償を求めているが、侵略の歴史からすれば当然のことだ。やはりわれわれは過去の歴史についてきちんとした認識をもたなくてはならない。
 私たちがどのような運動を進めていくのかが問われていると思う。やはり朝鮮民族が受けた侵略の歴史を正しく受け止め、日本政府に戦争責任と謝罪、補償を求めていく必要がある。そして、年内か遅くとも来年早々に国交正常化が実現するよう世論を起こしていこう。


意見は違っても目的は一つ
東京都議会日朝友好議員連盟 桜井 武会長

 私は自民党の都議であり、日韓友好議員連盟にも所属している。また、墨田区に住んでいるので、地域でも同様の運動を進めている。
 私は、日朝友好運動では主義や政党など関係なくつき合っている。政治レベルでいえば区議会や都議会では、それほど政党問題は出てこない。
 だから、私たちの運動は民間レベルの友好運動だと思っている。つまり民間外交であり、日朝友好運動の一翼を担う草の根運動であり、微力かもしれないがそれでよいと思っている。
 最近は日朝関係の運動が増えており、日朝経済交流の集まりにも参加したばかりだ。また、つい先日も北朝鮮への食料援助などを行っている歌手の京一夫さんが、日朝韓の子供たちの絵画展を東京都庁で開催したが、そのテープカットにも参加させてもらった。
 私の願いは、日本と朝鮮が仲良くなってほしいだけだ。そのために出来る限り努力している。そうした思いでかなり独断で進めているところもあるが、議連のメンバーからは文句は出ない。だから、私のやっていることはよいことだとの思いを強くしている。
 いずれにしても、意見は違っても目的は一つであり、さまざまな方々と共同しながら、一歩一歩だが日朝友好を進めていきたい。


<集会呼びかけ人>
清水  澄子(朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会)
隅谷 三喜男(東大名誉教授)
中江   要介(元駐中国大使)
花輪 不二男(世田谷地区労顧問)
槙枝  元文(朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会議長)
三木  睦子
吉田  康彦(北朝鮮人道支援の会代表)


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