20001015

JA第22回大会
グローバル化に批判続出

日本農業再生へ意欲を表明


 全国農業協同組合中央会(JA)は十月十二日、東京で四千人が参加して第二十二回全国大会(三年おきに開催)を開催した。すでにコメの自由化や輸入食料品の急増などで農産物の価格は暴落し、農家の経営は厳しくなり、日本農業は危機的状況にある。多国籍大企業を優遇した自民党政治による農業つぶしの結果である。日本農業再生のための抜本的農政が求められている。さらにJAでは合併・再編が進められている。広範な国民が農業、農地の多面的な効果を認識しだしているいまこそ、JAをはじめ日本農業再生のための農政実現へ広範な国民運動を巻き起こす時である。


 第二十二回大会は、「『農』と『共生』の世紀づくりをめざそう」をメインスローガンとし、原田睦民会長は「二十世紀は、とどまるところを知らない経済のグローバル化に象徴されるように、『競争』という枠組みに強く支配された百年であった。そのため『競争』至上主義がさまざまな問題を生み出した。そこで、今回の大会では、競争に生み出す対立・犠牲に替わり『共生』を基本にすえて展開する。都市と農村、人びとがお互いの役割を認め合い、均衡ある社会―共生の世紀づくり」をめざすとあいさつした。
 意見表明では宮城県・JA古川の木村敏彦氏が「グローバル化、食料競争の激化により、食料自給率は先進国で最低である。政府の場当たり農政が続く限り、二十一世紀の日本農業は危ない。JAは、政府に対し生命産業である農業について、安心してメシが食える農業政策の実現を要求すべきだ」と訴えた。
 茨城県・JA八郷町の関修一・専務理事は「世界貿易機関(WTO)は食料輸出国と多国籍企業が牛耳り、食料植民地主義が横行し、不平等、不公正な状態にある。独立国として、食料の安全保障を考え、WTO改革に全力を尽くすべきだ。そうしないと、輸出国によって日本の農業はつぶされる。国民の理解を得ながら、欧州連合(EU)やアジア諸国と連携して、運動をつくるべきだ。そこで、特に遺伝子組み替え食料の表示運動に取り組むことで消費者の理解も得られ、消費者との共生を実現できる」と述べた。
 食料自給率向上と経営所得安定に関する特別決議、WTO農業交渉に関する特別決議、JA改革の実践に関する特別決議などを採択して終了した。
 なお、前日にはEU農協連合会、韓国農協会長、モンゴル、インドネシアなどの農業団体代表も参加して、WTOの農業交渉の焦点である農業の多面的機能をテーマに国際農業フォーラムが行われた。


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