20001005

米艦入港・有事法制を許すな

ガイドライン具体化阻止の闘いを


 米軍は十月六日に米巡洋艦を大阪港に、十月十三日から空母キティホークを北海道・小樽港に寄港させると発表した。これまでも米軍は、民間航空会社を利用しての米軍の移動、全国の商業港への米艦の入港などを繰り返してきた。こうした動きは、新ガイドライン、周辺事態法にそった日米軍事協力のための既成事実づくりである。これは北朝鮮、中国を敵視、干渉する米国の東アジア戦略にそったものであり、朝鮮の南北首脳会以降の緊張緩和、平和統一への動きに対抗するものである。しかも、わが国政府は森首相が所信表明演説で有事立法の必要さを説き、今国会に船舶臨検法案を提出する動きを見せるなど米国に追随し、この危険な道に踏み込んでいる。米戦略追随を脱却し、アジアとの共生こそがわが国の生きる道であることは明らかであり、こうした政府の策動に反対する世論と運動がますます求められている。すでに、九月の米空母艦載機による夜間連続離着陸訓練(NLP)の強行は、米軍四基地周辺自治体の一斉の抗議によって、中止に追い込まれた。連合北海道小樽地区連合会の佐藤浩一・事務局長と大阪平和人権センターの小宮山昌治・事務局次長に聞いた。


軍港化反対の運動強化を
連合北海道小樽地区連合会  佐藤 浩一・事務局長

 米第七艦隊の空母キティホークが十月十三日から小樽港に寄港するというので、われわれは市議会に「米空母『キティホーク』小樽入港に反対する陳情」を出した。これは何とか入港を阻止したいという思いからだ。もちろん陳情は一つの手段であり、さまざまな反対運動で寄港を阻止したい。そのために、われわれは非核証明がなければ入港を許可しないという神戸方式を、小樽でもぜひ実現したい。
 政府は「事前協議がないから米艦船は核は搭載していない」と、紋切り型の答弁を繰り返しているが、これ自身は形がい化してしまっているし、信じられない。
 だが、自治体が本気になれば、かなりなことができるはずだ。米空母の艦載機による夜間連続離着陸訓練(NLP)も、三沢、大和、綾瀬の各市長が「米軍との友好関係の中断」を打ち出したとたん、すぐにNLPは硫黄島に移った。このことは市長にも言っている。
 新ガイドラインで民間港の使用が既成事実化しているが、小樽に空母が入るのは三年前のインディペンデンスに続いて二度目である。前回の空母入港では一般公開された。その後、昨年二月の米艦船ジョン・S・マッケインに続いて、今年二月にもモービルベィなどが入港している。
 このように小樽でも新ガイドラインによる「民間施設の軍事利用」が先取りされ、既成事実が積み重ねられている。まさに小樽港を軍港化するものであり、平和を愛する市民感情を逆なでするものだ。
 さらに小樽港で働く港湾労働者にとって、小樽港の軍港化は職場を奪い、生活が脅かされることにもなる。
 このように米軍はすでに小樽港をターゲットにしている。米軍の戦略として小樽港が組み込まれていると思う。朝鮮半島やロシアをにらめば、小樽は戦略上非常に重要だろう。
 新ガイドラインは国民の十分な議論と合意のもとで出来たものではない。だから、われわれとしては新ガイドラインそのものにも反対しており、平和を愛する市民と共に小樽港の軍港化に反対し、商業港・観光都市として小樽が発展していくことを願っている。そのために軍港化に反対する世論を大きくするために努力していきたい。また、入港当日には、抗議行動を行って、米軍への抗議と市民へアピールしていく。

周辺事態法を打ち破ろう
大阪平和人権センター 小宮山 昌治・事務局次長


 大阪港は第二次大戦で軍港にされ、大変な攻撃を受けて壊滅した。そこで、戦後はその教訓から大阪港は「世界に開かれた商業的貿易港」であり、軍港化は絶対に許さないことになった。そして、大阪港は日本有数の商業港として発展してきた。
 それが、ここにきて米艦船の入港が相ついでいる。われわれは、こうしたことを許していれば、新ガイドラインによる民間港の軍事利用が既成事実化し、大阪港の軍港化につながると危ぐしている。
 政府はすでに新ガイドラインを強行し、周辺事態法を成立させた。これらは大阪などの民間港をはじめ空港や病院など官民を問わず米軍の戦争に協力させられるものである。この危険な道はかつての戦争を想起させるものであり、アジアに敵対するものであり絶対に許せない。
 こうしたことを市民にアピールし、大阪港の軍港化に反対し、新ガイドラインや周辺事態法による戦争協力に反対する世論を形成するためにこれからも努力していきたい。
 もちろん十月六日の入港に際しては、早朝から抗議行動を行っていく。

NLP 全国での抗議で中止に追い込む

 米空母キティホーク艦載機によるNLPが九月五日から二十日まで、青森県三沢基地、東京都横田基地、神奈川県厚木基地、山口県岩国基地で強行された。訓練は騒音をまき散らし、住民から苦情と激しい抗議とが寄せられた。
 こうした中で、三沢市長がNLPに対し「植民地でもないのに好き勝手にやられてはたまらない」と米軍との友好関係中断を打ち出し、横田基地周辺市町基地対策連絡会(立川市など五市一町)は、NLPの即刻中止を要求し、こうした事態が継続するなら、友好交流を続けられないと抗議した。
 また、厚木基地周辺の大和市長、綾瀬市長も同様に友好関係の中断や見直しを表明した。さらに岩国基地では、NLPを行う場合には一週間前までに事前通報するという確認を無視し、強行した。これに対し、山口県知事、岩国市長、由宇町長が連名で、厳重に抗議した(別掲)。
 こうした各地一斉の怒りの声と抗議によって、米軍は二十一日から訓練を硫黄島に移さざるをえなくなったのである。


NLP中止を日米で合意せよ
岩国基地における夜間連続離着陸訓練に関する
抗議および要請
(9月26日、要旨)

 去る9月18、19日の2日間、米艦載機によるNLPが岩国基地で行われた。
 地元自治体では、市街地に隣接する岩国基地において、激しい騒音をもたらすNLPを実施することは認められないとの立場で、これまで再三にわたり、こうした訓練を岩国基地で実施しないよう、国および米軍に強く要請してきた。
 しかしながら、こうした地元自治体の意向を無視し、今回、岩国基地において、住民からの多数の苦情の中、NLPが実施されたことは、これまで築いてきた地元自治体と在日米軍の信頼関係を著しく損なうものであり、極めて遺憾である。
 加えて、今回の訓練は、岩国基地が予備施設として指定されていないにもかかわらず、また、やむを得ず実施する場合には、1週間前までに事前通報するという地元自治体と岩国基地との確認事項を無視して、突然に訓練が開始されるなど、地元自治体としては、到底許すことのできないものであり、厳重に抗議する。
 また、今後二度とこのような訓練が岩国基地において行われないよう(米軍に求めることを)強く要請するとともに、岩国基地を含む米軍基地においては、米空母艦載機による飛行訓練、NLPを行わないことを日米間の合意事項とするよう強く要請する。

山口県知事   二井 関成
岩国市長    井原 勝介
由宇町長    槙本 利光


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