20000925

米空母キティホーク艦載機
米軍、演習中止に追い込まれる

全国でNLPに怒りの声


 青森県三沢基地、山口県岩国基地をはじめ、全国で米空母キティホーク艦載機による夜間離発着訓練(NLP)が強行されている。昼夜の区別なく続く爆音に、各地で住民の怒りが高まっている。青森県三沢市長は、「米軍との友好関係の中断」を打ち出し、厚木基地周辺の大和市長、綾瀬市長も米軍との関係中断を表明した。沖縄だけでなく、全国で基地撤去の運動を盛り上げる条件は増しており、これを発展させなければならない。各地の動きと、三沢基地撤去運動の中心の一人である瀬川武夫・三沢市議の話を紹介する。


三沢 市長が米軍との「関係凍結」

 三沢基地では九月五〜七日、C2輸送機、FA18攻撃戦闘機による訓練が二年八カ月ぶりに行われた。九十回におよぶタッチ・アンド・ゴーに、市内・周辺地域は百デシベル以上の爆音につつまれた。同市内の天ヶ森対地射爆場でも五〜十二日、断続的にF16戦闘機による模擬弾投下などの夜間訓練が行われ、住民は不安な夜を強制された。
 これに対し六日、県平和労組上十三地方本部などによる緊急現地集会が行われ、労働者百五十人が参加した。あいさつした瀬川・三沢市議は「NLP強行に対し、反基地闘争を強めよう」と呼びかけた。
 また、三沢基地進入表面下町内会連合会も十二日、木村・青森県知事に天ヶ森対地射爆場の移転、基地機能強化反対などの要望書を提出している。三沢市と市議会も六日、米軍当局に訓練に対する抗議を申し入れた。
 鈴木・三沢市長は全国基地協議会副会長をつとめたこともあり、基地と住民との関係を「世界で一番うまくいっている」と述べていた。しかし、今回の訓練強行に「植民地でもないのに好き勝手にやられてはたまらない」と態度を硬化、米軍との友好関係を中断すると発表した。今後当面、市主催行事などへの米軍関係者の招待を取りやめるほか、NLPが繰り返された場合には「米海軍撤去」を要請するという。

岩国 突然の訓練に怒り
小樽 空母寄港に座り込み

 岩国基地でも十八日昼間、NLPが突然開始された。同基地での訓練は七カ月ぶり。日米当局者間では一週間前の事前通告が合意されているが、米軍からの通知は訓練開始後であった。
 同訓練は硫黄島で行われる予定であったが、米軍は「天候不順」を口実に、岩国基地に予定を切り替えた。井原・岩国市長は「突然の通告は信頼関係を損なう」と不快感を表明している。
 神奈川県厚木基地、東京都横田基地でも五〜八日に続き、十八〜二十一日にも訓練が強行されている。厚木基地爆音防止期成同盟などは二十日、大和市で抗議集会を行い、大和市・綾瀬市などは、訓練中止を申し入れた。
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 空母キティホークの十月中旬入港が予定されている小樽市では、市民グループ「米空母に反対する市民の会」が十八日から、同市役所前で座り込み行動を始めた。同会は、二十四日に寄港反対のデモ行進を行った。
 同港への米空母入港は、九七年のインディペンデンス以来となる。新ガイドライン実質化を進める動きに、反発の声が強まっている。


全国と連帯し運動強化を
瀬川 武夫・三沢市議

 今回の訓練は二年八カ月ぶりということで、かなりの爆音を感じた。とくに夜間訓練ということで、住民の苦情は百件近くあったそうだ。八月に防衛施設庁から訓練の連絡があったが、その当時から市当局や議会は「絶対反対」ということで、国などへの申し入れを再三行っていた。
 市長の態度の変化には、再三の訓練中止要請が無視されていることと、天ヶ森対地射爆場での夜間訓練が強行されたこと、訓練のため他の基地から来た米軍の横暴ぶりに目に余るものがあったなど、一連のことがある。
 さらに、三沢基地には航空自衛隊も駐屯しているが、二十六日には新型のF2支援戦闘機も配備される予定だ。基地機能の強化に対する住民の不安は高まっており、いわば「極限に達した」ということだ。
 平和労組としても、いままで六カ所村の核燃料サイクル基地問題を闘ってきたので、基地問題での取り組みは久しぶりだった。先日、沖縄や厚木の行動もあったが、いままで以上に全国の反基地運動と連帯していきたい。米軍も戦略上の問題があり、今後もNLPをやめることはないだろう。社民党も最近は反基地運動が弱かったので、強化するよう、集会の場でも確認したところだ。
 市民も、いままでは市長が「基地との共存」としていたので、米軍を批判しにくかったが、今回のことで言いやすくなったのではないか。運動にとってもチャンスだ。


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