20000915

国民連合・東京が申し入れ

自衛隊「治安出動訓練」中止を


 自主・平和・民主のための広範な国民連合・東京は八月三十一日、東京都が九月三日に行った自衛隊七千百人を動員しての総合防災訓練に対して、これを中止するよう、石原都知事に申し入れを行った。その要旨を掲載する。

申入書

 東京都は九月三日に「ビッグレスキュー東京二〇〇〇」と称する総合防災訓練の実施を予定している。これは、地方自治体主催の防災訓練としては他に例を見ない未曾有(みぞう)の規模である。
 私たちは以下の理由から、今回の訓練を「防災」の名を借りた「自衛隊の治安出動訓練」であるとみなさざるをえない。
(一)石原都知事は、一九九九年「VOICE」八月号誌上で、今回の防災訓練の目的を「北朝鮮とか中国に対するある意味での威圧」「相手は災害でも、ここでやるのは市街戦ですよ」と公言した。
(二)石原都知事は四月九日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念式典で、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」とし、災害時の騒擾(そうじょう)事件を想定して、治安維持も「大きな目的として遂行していただきたい」とあいさつした。この時、「国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを、価値というものを国民に、都民にしっかりと示していただきたい」などとも述べている。
   ◇    ◇
 この石原都知事の発言は、在日外国人、とりわけ中国人や韓国・朝鮮人に対する民族差別に貫かれている。彼らを不法入国者=潜在的犯罪者とみなして、民族排外主義をあおるものである。
 石原都知事の一連の発言は、多くのアジア諸国とりわけ中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国の強い反発を招いた。知事がこれらの国々を敵視する見方をあおることは、アジアの平和と共生を願う多くの都民、ひいては国民の不利益につながり、アジア諸国の友好と平和を脅かすものである。
 国際都市東京の知事・石原氏の発言とその具体化の一つである今回の「防災訓練」は、南北朝鮮首脳会談の歴史的成功や日朝国交正常化交渉再開など、北東アジアの平和の流れに逆行するものである。
 また、知事自身の誤った歴史認識は、都民のアジア蔑視(べっし)をあおり、二十一世紀に向け日本がアジアをはじめとする国々と友好的につきあうことを妨げるものである。日本がアジアの一員として平和に共生することを願う私たちは、これらのことを断じて許すことはできない。
 したがって、東京都が予定している訓練内容を変更し、地方自治体にふさわしい防災訓練に改めるよう申し入れる。


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