20000905

神奈川 米軍野戦病院演習に反対行動

沖縄県民と連帯して
米軍基地撤去、国の進路転換の運動を


 沖縄県民は、七月二十日の嘉手納基地包囲闘争で移設反対の意思を明確に示した。全国でも神奈川、佐世保、岩国などで連帯する闘いが行われた。今秋、沖縄・普天間基地の移設問題、ガイドラインの具体化、国の進路を転換させる闘いが重要となる。米軍は八月二十七日から、神奈川県相模原市にある相模補給廠(しょう)でベトナム戦争以来、最大規模の野戦病院演習を行った。相模原市、市議会なども反対し、神奈川平和運動センターなどは二十八日に、抗議集会とデモを行った。労働者を先頭に沖縄に連帯し、米軍基地撤去、ガイドラインの具体化反対、国の進路の転換を求める運動を全国で発展させよう。(関連記事5面)

 再定義された日米安保のもとで、沖縄の普天間基地の移設・新基地建設がいよいよ具体化する。米第七艦隊の司令部のある横須賀や岩国、佐世保など本土の基地強化も進んでいる。
 そして、米軍に協力する周辺事態法の具体化を進めるために、今年の防衛白書では有事法制の必要性を強調したように、政府は有事体制づくりを本格化させようとしている。森政権は当面は周辺事態法で未処理の船舶臨検法成立や国際平和維持軍(PKF)参加凍結をもくろんでいる。
 それらの体制を保障するため、すでに設置された憲法調査会を通じて改憲策動は強まっている。
 このように日米安保ガイドラインの具体化とそのための反動的な再編が進もうとしている。基地強化の策動に断固反対する運動が強く求められている。
 しかし、野党である民主党はPKF凍結解除や有事立法まで主張している。鳩山代表は、憲法についても二年程度で改憲すると主張しており、わが国の自主・平和の進路とアジアの平和を守る上で敵対している。
    ◇   ◇ 
 安保強化や反動化の動きは米国の東アジア戦略に沿ったものであり、そのもとでわが国の大国化志向の表れでもある。米国と共に中国や北朝鮮などアジアに敵対するものである。
 最近、河野外相が訪中し、日本海での中国船の活動や軍事費の増加について政府開発援助(ODA)を材料に、中国に圧力をかけるなど大国主義的干渉を加えたことなどにも示されている。
 朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉でも、拉致(らち)疑惑、ミサイル問題をもち出して敵対し、交渉を引き延ばしている。
 政府・支配層は米国の圧力に屈しながら、アジアと敵対する道を進んでいるが、対米追随反対、アジアとの共生へ外交の転換を求め広範な国民運動をつくり出そう。それこそが国益にかなうものである。
 いまこそ、米国の東アジア戦略に沿った新ガイドライン、周辺事態法などの策動に反対し、諸悪の根元である日米安保破棄、米軍基地撤去の運動をつくり出そう。
 その運動の中心を担うのは労働組合であり、先の普天間包囲闘争などでも大きな役割を示した。
 労働組合は、日米安保破棄、基地撤去の旗を掲げ、国民諸階層と連携し、壮大な国民運動の先頭で奮闘しよう。


基地県での闘いこそ沖縄連帯
神奈川平和運動センター 林 貞三事務局長

 神奈川県は「沖縄につぐ第二の基地県」といわれるが、その米軍基地は横須賀の第七艦隊司令部や在日米陸軍の司令部があるなど、米軍の戦略上は重要拠点となっている。だから、この神奈川県で基地撤去の声を上げなくてはならない。
 七月二十日の嘉手納基地包囲闘争にあわせて、神奈川平和運動センターとしても、厚木基地を包囲したかった。残念ながら、準備が足りずそこまではできなかった。だが、三千七百人による集会とデモを行い、基地はいらないという意思表示した。その点では、神奈川としても沖縄と連帯したし、激励もできたと思っている。
 相模原市にある相模補給廠で行われた統合野外医療演習「メディクス二〇〇〇」は、ベトナム戦争以来、最大の規模で行われた。米軍はこれまで「朝鮮半島の危機」を口実に、基地強化とを続けてきた。だが、南北朝鮮の首脳会談によって、朝鮮半島は自主的平和統一に向かう大きな一歩が踏み出された。
 米軍はこれまでの主張の根拠を失ったにもかかわらず、今回の演習では在韓米軍を「負傷者」として輸送するなどした。この演習は、露骨に朝鮮有事を想定するなど、自主的平和統一へと向かう流れに逆行するものだ。そればかりか、今回の演習は朝鮮半島の政治的・軍事的緊張を高めるものでしかない。
 新ガイドラインと周辺事態法がすでに成立したが、その点からも、米軍基地を返さないという日米政府の意思表示ではないだろうか。相模補給廠も基地としては遊休化している部分も多かった、だが、今後のこともあるので、たとえ遊休していても返還しないということだろう。
 そして、周辺事態法に続いて有事立法などの危険な動きが出てくると思う。だから、われわれの基地撤去の運動はますます重要になる。平和運動センターとしては、厚木や横須賀などの現地の声や運動を大事にし、かつそれを全県的に広げていく。
 これまでも沖縄から活動家を招いたり、こちらからも出かけたり交流があった。今後も交流も強め、沖縄と連帯しながら、基地撤去の運動をいっそう強めていきたい。


相模原市長も議会も中止を要請

 小川勇夫・相模原市長や市議会も米軍の野外医療演習に反対し、集会へメッセージを送った(以下、要旨)。

 本市としては、相模総合補給廠について長年返還運動を展開し、本年度からは市民総ぐるみでその跡地利用構想の策定を進めており、演習の実施が返還への取り組みに影響をおよぼすことを懸念している。
 また、このような大規模な演習が60万人都市である本市の中心部で実施される予定であることは、騒音をはじめとした周辺住民への影響も懸念される。
 このため、本市と本市米軍基地返還促進市民協議会では同廠における今回の演習の実施を見直すこと、また今後、このような大規模な演習が行われないよう米軍および国に対し要請を行ったところである。


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