20000825

「命を守る会」が東京行動 首相官邸・米大使館に要請

名護市民の「反基地」は鮮明


 沖縄サミットを終え、名護への普天間基地代替ヘリポートの移設問題は、重大な情勢を迎えつつある。政府・稲嶺県政などは、八月中にも移転場所と工法を決定するための協議会を開始しようとしている。こうした中、名護の「命を守る会」(ヘリ基地建設阻止協議会)は八月十日、首相官邸と米大使館に要請行動を行った。沖縄県民と連帯した全国での運動が、いよいよ切実に求められている。東京行動の後に報告集会が行われた。


 「命を守る会」東京行動報告集会は、同会が八月十日行った首相官邸・米大使館への要請行動を受け、同会主催で開かれたもの。緊急の行動にもかかわらず、集会には百五十人の労働者・市民が参加した。
 東京側受け入れ団体である沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの司会で始まり、金城祐治・命を守る会代表が主催者あいさつを行った。
 金城氏は、地元名護の高齢者を中心とする人びとの奮闘を報告し、普天間基地移設に反対する運動を、わが国の平和の問題として闘うことを訴えた。(別掲)
 上京した現地の人びとが一人ひとり紹介された後、上原成信・関東ブロック代表があいさつした。上原氏は、「市長リコールを事実上断念したことで、心配する人も多かったと思う。しかし、こうして多くの人が参加してくれたことで、現地の人びとにも激励になっているだろう。闘いは現地が中心だが、彼らの後ろに常に控えているように、東京でもがんばりたい」と、決意も新たに訴えた。
 さらに、宮城保・命を守る会事務局長、西川征夫・命を守る会前代表、安次富浩・ヘリ基地反対協議会共同代表が地元からの訴えを行った。
 最後に、立川市職労、港区職労、米軍人・軍属による事件被害者の会などが連帯アピールを行った後、参加者全体で団結ガンバローを行った。


平和を守る運動として闘う
金城 祐治・命を守る会代表

 名護市民は二年前、「大事なことは皆で決めよう」と、市民投票で基地を拒否した。この結果に感激したのもつかの間、傀儡(かいらい)政府は名護への基地押しつけ圧力を強めている。
 移設候補地となった地域では、オジイ、オバアががんばっている。市長リコールのために受任者署名を集めたときには、一人で百人もの署名を集めた人もいる。先の沖縄戦を生き抜いた高齢者が、運動の核になっている。
 衆院選直後から、森首相とクリントン米大統領に基地撤去を求める請願署名集めを行った。わずか二十日程度だったが、合計四万二千以上の署名が集まった。
 署名は七月二十一日、両首脳に渡そうとしたが、果たせなかった。本日、やっと提出することができ、胸のつかえが少しおりた思いだ。
 平和は水や空気のように考えてはいけない。全国の平和を願う人びととともに、子や孫に平和を受け継ぐ努力を強めたい。この運動を、日本の平和を守る運動と位置づけて、支援をお願いしたい。


基地ができれば生きていけない
宮城 保・命を守る会事務局長

 名護市長や日米政府は建設をゴリ押ししようとしているが、住民からすれば、すでにキャンプ・シュワブなどの基地に囲まれた生活を強制されている実際がある。
 もし、この上さらに普天間基地が移設されれば、安保条約への賛否以前に、私たちは生きていけない。
 現地で闘っている高齢者の中には、午前中は毎日病院で点滴を打ち、午後に事務所に通ってくる人もいる。事務所を守るだけでも困難な闘いだ。いったい何年闘い続ければいいのかと思うこともあるが、オジイ、オバアは「このままでは死んでも死にきれない」とがんばっている。
 沖縄は戦後五十五年間、基地を押しつけられ、事件・事故が繰り返された。明らかになっている暴行事件などは「氷山の一角」だ。ところが、「復帰」して三十年近くになるのに、現実は何も変わっていない。なぜこうしたことを改めて言わなければならないのか、皆さんによく考えてもらいたい。
 沖縄県民は、同じ国民とはみなされていないのか。基地が必要なら、「安保が必要」という政治家の地元にもっていってほしい。
 私たちはカネはいらない。ただ、子どもや孫とともに、静かで安らかな老後を送らせてほしいと思っているだけだ。これからも、命を削ってがんばる。


新基地阻止へ徹底して闘う
西川 征夫・命を守る会前代表

 私は以前、キャンプ・シュワブで警備員として働き、自民党の地域青年部で活動していた。ストライキを闘う全軍労労働者と対峙(たいじ)した経験もある。
 これは地元、名護だけの問題ではない。また、すぐに決着する問題でもない。ただ、稲嶺知事のいう「十五年期限」だけは、すぐに論理が崩壊するだろう。
 私は自民党を「裏切った」ということで、「アカ」呼ばわりされている。
 だが、こういう運動は、徹底して闘わないといけない。四年間闘い続けてこられたのは皆さんのおかげだが、これからもがんばる。


クリントン発言にはダマされない
安次富 浩・ヘリ基地反対協議会共同代表

 ヘリ基地反対協としてはこの間、サミットの機会を使った平和の発信を行ってきた。九月初旬には反対協の総会を開き、今後の方針を決定したい。いずれにしても、新基地に反対し、政府が断念するまで闘う決意だ。
 クリントンは米兵に「よき隣人になれ」といい、沖縄県民には「基地との共生」を主張している。しかし、駐留兵である限り、「よき隣人」ではありえない。私たちは、クリントンのメッセージにはダマされない。
 沖縄県内にも、「米国が平和と繁栄を守っている」という意見がある。
 しかしこれは、事件・事故の被害者に「黙れ」といっているのと同じだ。マスコミの調査でも、県民の六〇%は県内移設に反対であり、私たちは粘り強く運動を続ける。


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