20000805

社民党大会 基本政策転換の意見続出

現状で前進は可能か


 社会民主党大会が七月二十九日に開催された。議題は、六月に行われた総選挙総括、運動方針、そして来年の参議院議員選挙方針、役員改選などであった。
 総選挙総括においては、前進したことについて、「憲法九条を中心とする平和憲法の擁護」などの主張が有権者に支持され、「積極的な候補擁立と女性の奮闘」が「新たな支持拡大につながった」としている。
 これはこれで、事実の面があろう。だが、各県代議員からの発言は、もっと多面的で示唆に富むものであった。「大衆運動をもっと強化し、党の旗が見えるようにすべき」(沖縄)、「市民運動を否定しないが、労働組合が選挙を支えている。執行部には、連合や産別に対しもっと丁寧な対応を望みたい」(富山)、「中小企業政策をどう発展させるかが大事だ」(大阪)。
 こうした意見は、社民党に安易に「市民」「女性」に支持基盤を乗り換えるのではなく、労働組合や農民運動、中小商工業者など国民各層の要求を重視し、国民運動の組織者として社民党を再生させることを望んだものといえるのではないか。しかし総括案には、労働組合の役割は、実に簡単に「協力を得ることは重要なことである」とふれられているだけである。
 二〇〇〇〜二〇〇一年度運動方針では、重要政策課題として「『創造的福祉社会』をめざす」「国家の安全保障から人間の安全保障へ」などが掲げられている。
 だが、村山政権下で「安保堅持」「自衛隊合憲」「消費税引き上げ」などを打ち出し、国民を裏切ったことに対する総括と反省が求められているにもかかわらず、基本政策はあいまいなままであった。
 とくに、「役割を終えさせます」とだけ述べられている日米安保条約について、代議員の批判が相ついだ。広島・長崎・沖縄県連が連名で意見書を提出したのをはじめ、大阪、愛媛県連も、村山政権当時の基本政策転換を反省し、安保破棄の明記を求める意見書を提出した。
 先の総選挙のように、社民党が「護憲」の立場を打ち出そうとすれば、在日米軍基地と安保条約に対する立場と見解を問われるのは自然な流れである。「護憲の運動を広げるためにも、安保破棄の立場をいまここで明確にしてほしい」(大阪)、「まずは安保破棄の立場を明確に」(広島)、「安保は『役割を終えさせます』ではなく、『安保をなくし友好条約に転換します』とすべき」(富山)などの意見は、現場の活動家の切実な声でもあろう。「執行部の明確な回答があるまで、何度でも質問する」とくいさがった代議員もいた。あまりにも当然であろう。
 しかし、執行部は「基本政策については、党改革委員会で検討する」と繰り返すだけであった。これでは、参加者から「党改革委員会の性格はどうなのか」と質問が飛び、「検討するというが、実際はたなざらしになるのでは」と危ぐの声が聞こえてくるのも当前である。
 参議院議員選挙闘争方針では、全選挙区での候補者擁立、比例区七百万票以上獲得が目標とされた。しかし、社会党以来、長年同党と選挙を支えてきた労働組合との絆(きずな)を弱め、基本政策についての反省もないままで、勤労国民の広範な支持を拡大することは困難ではないだろうか。


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