20000725

沖縄との連帯全国で高まる


 嘉手納基地包囲行動に連帯し、米軍基地の縮小・撤去を求める闘いが、全国でわき起こっている。沖縄に次ぐ「基地県」である神奈川県では、厚木基地を撤去を求める集会・デモが闘われた。岩国基地を抱える山口県岩国市や大阪、愛知でも、運動は高まりをみせている。これをさらに大きく、幅広く発展させることが求められている。各地の闘いを紹介する。


神奈川 3千7百人が結集 厚木基地撤去を訴え

 「沖縄嘉手納基地包囲に連帯し厚木基地撤去をめざす神奈川集会」が七月二十日、神奈川県大和市内で開かれた。
 厚木基地近くにある会場には、思い思いのゼッケンやプラカードを手に、労働者や市民など三千七百人が結集した。炎天下の会場には自主・平和・民主のための広範な国民連合・神奈川や沖縄県人会、労働組合の出店がつくられ、家族連れや高齢者などの参加も目立った。
 集会の主催者は神奈川平和運動センター、原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議、県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会の三団体。集会に先立つ「平和フェスティバル」では横須賀、韓国、朝鮮、フィリピンの音楽と踊りが行われ、アジアの平和と共生・自立を訴えた。続いて、沖縄からかけつけた八重山民謡の第一人者である大工哲弘氏が登場。大工氏は上空を飛ぶ米軍機のごう音に、「まるで沖縄にいるようだ。怒りがこみ上げてくる」と語り、「沖縄を返せ」「インターナショナル」などを熱唱した。
 集会では県央共闘の鈴木保氏が基調報告を行い、「沖縄の嘉手納包囲闘争を心から支援し、厚木基地の撤去をめざして闘おう。こういう集会を横須賀や横田でも同時に開催できる力をつくっていこう」と呼びかけた。
 連帯あいさつに立った吉元政矩・元沖縄県副知事は、「クリントンは沖縄サミットを、日米軍事同盟を示すよい機会だと言っている。米国は朝鮮半島の危機がなくなれば、新たな危機をつくりだす。それは台湾だ。サミットでは、世界のマスコミが集まる中、県民の思いを不十分でも知ってもらいたい。二年後には県知事選挙もある。私たちはしぶとく、したたかに、しなやかに闘う。いっしょに闘おう」と訴えた。
 神奈川と沖縄を結ぶ反基地連帯行動の伊藤成彦・中央大学教授は、「このような集会ができたことは、大きな意義がある。自信をもってこれからの反基地運動を組み立てていこう」と呼びかけた。
 集会の途中、「今、極東最大の米軍基地を完全に包囲しました」と、嘉手納基地包囲参加者から電話が入ると、会場からは歓声と拍手。会場でも参加者全員が手をつなぎ、連帯を確認しあった。
 集会宣言では、「沖縄での女子中学生へのわいせつ事件、ひき逃げ事件の発生。厚木基地で七月一、二日に強行されたエアーショー・曲技飛行など米軍の傍若無人な振る舞いがあった。今日を基地のない神奈川をめざす力強い一歩にしよう」と誓いあった。
 集会終了後、参加者は二グループに分かれてデモ行進を行った。デモ参加者は厚木基地のフェンスに赤いリボンをしっかりと結びつけ、厚木基地基地撤去の思いを示した。


愛知 名古屋・豊橋で集会 石川元平・前沖教組委員長が講演

 「サミットと沖縄の基地、私たちは何をするか」集会が七月十五日、愛知県豊橋市内で開催され、約七十人の労働者・市民が参加した。
 集会では、九五年の沖縄県民総決起大会のもようを記録したビデオが上映されたあと、石川元平・前沖縄県教職員組合委員長が講演した。
 石川氏は、「サミットに際しての日米の狙いは日米安保体制の強化であり、日米特別行動委員会(SACO)合意で普天間基地の移転・強化で合意したことをごり押しにすすめるものである」と厳しく批判。そして「沖縄県民の闘いは盛り上がりをみせており、移設場所を決めさせてもいない。南北朝鮮の首脳会談を受け、朝鮮半島情勢は大きな変化をしており、いまこそ米軍基地撤去、アジアの平和を築くチャンスである」と訴えた。
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 「異議あり! サミット・沖縄に新たな基地をつくらせない集会」が七月十六日、名古屋市内で開かれ、炎天下のもと約百人の労働者、市民が参加した。
 沖縄民謡のアトラクションのあと、自主・平和・民主のための広範な国民連合・愛知、沖縄県人会、国労、不戦へのネットワークなど、十団体からのリレートークや、平良夏芽・桑名協会牧師の沖縄慰霊祭の報告が行われた。
 平良牧師は、「本土でも厚木基地行動が行われている。幅広い連携で運動をつくろう」などと呼びかけた。
 集会では、森首相に対して「米軍基地を維持し、新たな建設をすることに抗議する」趣旨の抗議・要請文を採択したあと、栄繁華街をデモし、市民にアピールした。


大阪 米兵犯罪許すな 千2百人が決意新たに

 「サミットを通じた基地押しつけは許さない! 沖縄・嘉手納基地包囲行動に連帯しよう関西集会」が七月十七日、大阪市内で開かれた。主催は「しないさせない戦争協力・関西ネットワーク」で、全港湾、関西生コンなどの労働者・市民約千二百人が参加した。
 集会に先立つ前段行動として、JR大阪駅での街頭宣伝、米国総領事館・防衛施設局に対し、少女への暴行事件に抗議し普天間基地の沖縄県内移設に反対する要請行動が行われた。
 オープニングのエイサーに続き、沖縄平和市民連絡会事務局の宇根悦子氏が、沖縄からの訴えを行った。
 宇根氏は、冒頭に「最近の米兵による女子中学生への暴行は、これまでに何回も起こったことであり、沖縄戦が始まって以来のこと」と切り出した。続けて、「一九五五年には幼児(由美子ちゃん事件)が、そして九五年には小学校六年生の女子が被害にあった」と、怒りを込めて米兵の犯罪を糾弾した。
 「七月十五日の県民大会は緊急だったが、七千人が集まった」と県民の粘り強い闘いを報告した。
 また氏は、「朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争の時に、嘉手納から戦闘機が飛び立っていった。私たちは戦争に加担したくない。この気持ちを、基地包囲という形で表したい」と、嘉手納基地包囲行動への連帯を訴えた。
 最後に、「米軍基地をなくすことは沖縄県民だけではできないことだ。なぜなら、背景に安保条約があるから。ぜひ本土の人も連帯して、安保破棄、基地撤去の声を高めてほしい」と、参加者に呼びかけた。
 集会最後に、二十日の嘉手納基地包囲行動に参加する代表団の決意表明が行われ、「平和な島を!」関西沖縄の会の我謝実氏の音頭で、団結ガンバローを行った。


岩国 沖縄に連帯し岩国基地撤去を

 「沖縄県の嘉手納基地包囲行動に連帯する中国ブロック岩国集会」が七月十六日、山口県岩国市内で開かれた。主催は、中国ブロック平和フォーラムで、中国五県から参加した労働者をはじめ、約四百人が結集した。
 集会には、自治労沖縄県本部の大城治樹執行委員長がかけつけ、「女子中学生わいせつやひき逃げなど、米兵による事件はいまだに続いている」と、いまだ変わらぬ沖縄の現状を報告した。
 続けて、「沖縄サミットでは、世界の多くの人びとが基地の現状を見てくれることを願っている。嘉手納基地包囲行動の成功をはじめ、米軍基地の縮小・撤去の闘いを、今後も強化していく」などと訴えた。
 岩国市職平和研究所の田村順玄所長は、岩国基地滑走路の沖合移設事業や、中国山地での米軍機の低空飛行訓練の実態などを報告、基地機能の強化に反対する決意を表明した。
 集会後、参加者は米軍岩国基地まで三キロをデモ行進し、市民に基地撤去をアピールした。


東京 沖縄連帯の意思示す

 フォーラム平和・人権・環境は七月十八日、東京で「沖縄からのメッセージ集会・東京」を開催、約千五百人が参加した。集会では、吉元・元沖縄県副知事が沖縄県民との連帯を訴えた。なお、労働党中央委員会と東京都委員会は、激励の宣伝を行った。


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