20000715

少女へのわいせつ事件糾弾

沖縄連帯の声さらに大きく


 またしても沖縄で発生した米兵による少女へのわいせつ事件に対し、県民の怒りが高まっている。沖縄平和運動センターなどは、十五日に県民大会、二十日に嘉手納基地包囲行動を準備し、日米両政府に基地撤去を迫っている。これに呼応する全国での闘いも起こっている。さらに幅広く、全国で運動を巻き起こすことが求められている。神奈川、東京などでの取り組みと、川上満・自治労沖縄県本部書記長の声を紹介する。


神奈川 石川 元平・前沖教組委員長が講演
サミットは基地固定化狙う

 七月三日と四日、横浜、川崎で、沖縄と連帯して米軍基地の縮小・撤去を求める集いが、石川元平・前沖縄県教組委員長を招いて行われた。これらは、七月二十日に行われる「沖縄と共に厚木基地撤去をめざす神奈川県民行動」(主催・神奈川平和運動センター、県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会、基地のない神奈川をめざす県央共闘会議)成功に向けて取り組まれたもの。
 横浜では三日、竹田四郎・元参議院議員や横浜YWCAなどの呼び掛けによる実行委員会が主催し、「沖縄と結ぶ横浜の集い」が開催された。
 竹田氏は主催者を代表して、「沖縄は本土の犠牲になって米軍基地負担の重圧を押しつけられた。本土の人間が沖縄の基地をなくすという強い決意を持って取り組む必要がある。二十日に開く大和の集会にもそういう決意で臨みたい」「最近、朝鮮半島で南北首脳会談が行われた。南北が親しくなれば、朝鮮半島に軍隊を置く必要はなくなる。アジア全体から見ても、在日米軍の必要性は極めて薄くなるし、むしろ平和の妨げになる。早く日本から米軍基地をなくさなければ、日本はアジアから孤立した国になる可能性がある。いま、基地をなくす順風が吹いている。アジアに米軍基地はいらないという主張を、強く出していきたい」とあいさつを行った。
 連帯のあいさつとして、鈴木保・厚木基地爆音防止期成同盟委員長は、七月二十日の県民行動をアピール。「沖縄と本土でやることに価値がある。二十日の行動では、デモ行進で二コースに分かれて基地を包囲することになるので、気持ちは、沖縄の嘉手納基地を包囲する人びととつながる。当日は、やってよかった、と元気が出るような集会にしたい。ぜひ大勢の皆さんが参加するように呼び掛けたい」と訴えた。
 石川氏は「サミットに向けて沖縄はいま〜沖縄基地問題のもつ全国的意味」と題して講演。沖縄サミットのもつ政治的意図を「世界の紛争予防のために、沖縄の米軍基地を利用することを世界に発信するためのもの」と暴露した。さらに、サミットに向けた沖縄県民の闘いを、主な取り組みを中心に紹介。基地撤去に向けて、サミットが新たな県民意思の結集の場になると話した。
 閉会のあいさつは、山田三津男・横浜南地区労議長が行った。

川崎でも集会

 川崎では四日、川崎総合自治会館で「沖縄と川崎をつなぐ市民の集い」が、「七・二〇を成功させる川崎実行委員会」の主催で行われた。
 最初に連帯のあいさつを伊藤成彦・中央大学教授が行い、この間の取り組みを紹介した。
 石川元平氏の講演後に鈴木保氏があいさつを行い、厚木基地の飛行訓練を三日間阻止した経験を紹介して、「当時は、地域の女性が道路を隔てて滑走路の前に身を挺して抗議行動をすることで、飛行訓練を阻止することができた。基地を撤去させようとすれば、頼んでいてはダメ。相手にとって困ることをやらなければ物事は解決しない」などと訴えた。


超党派で怒りの声を
自治労沖縄県本部 川上 満書記長

 今回の米兵による強制わいせつ事件は、五年前にも起きたが、基地ある限り問題は続くと思う。根本的な解決のためには、最終的には基地撤去しかない。
 それと、今回の事件に対し、米軍、日本政府そして沖縄県もサミットがあるので、鎮静化に必死になっている。たとえば、米調整官が出向いて謝罪したのも戦後初めてのことだ。もし、サミットがなければ、こういう対応をしたのだろうか。それを考えると怒りを感じる。これはやはり、クリントンが沖縄に来るため、米政府は県民の怒りがクリントンに向けられるのを恐れているからだ。
 また、サミット中には米兵の夜間の外出禁止などを決めたが、サミットが終わればよいのか。結局、サミット成功優先で県民の安全については軽視していると言わざるを得ない。
 こうした中で、基地をなくす県民運動を発展させていくことが大事だ。十五日の抗議の県民大会は、やはり五年前の事件を想起させるので、県民各界の県民大会として成功させたい。そして二十日の嘉手納基地包囲闘争に連動させていきたい。
 県民大会については、各界に参加・協力を要請している。それは、県議会の抗議決議などが広く超党派の全会一致で決まったように、立場を超えて抗議の意思を表していきたい。だから、県知事にも参加してもらい、県民の抗議の意思を県民を代表してきちんと訴えてもらいたい。
 南北朝鮮の自主的な対話が始まっている。東アジアの緊張緩和が進んでいる。これによって、沖縄米軍基地の役割も変わったと思う。沖縄とすれば、こうした緊張緩和の流れを促進するような世論が基地撤去につながると思う。
 もし安保条約を肯定するなら、基地を沖縄にだけ押しつけず、本土も受け入れてほしいという気分さえもある。沖縄でも本土でも安保条約の問題をもっと議論すべきだ。


東京 三多摩で沖縄連帯集会
横田と沖縄結び基地撤去を

在日米軍司令部のある東京・横田基地近くの福生市・福生公園において、七月十三日、三多摩集会実行委員会主催による「沖縄新基地建設に反対する三多摩集会」が開催された。
 呼びかけ団体は三多摩平和運動センター、横田基地飛行差し止め訴訟団、有事立法・憲法改悪反対・止めよう戦争への道! 八王子連絡会。集会には自治労、教組、東水労、国労、全国一般、その他民間労組、市民団体など約四百人が参加した。
 この集会は七月二十日に沖縄平和運動センターが呼びかける嘉手納基地包囲行動に連帯し、在日米軍司令部のある横田で「沖縄と横田を結ぶ」闘いを行おうと開催されたもの。
 主催者を代表して三多摩平和運動センター議長の川村氏は「今日この集会を一日限りのものとせず、今後も沖縄と連帯して、米軍基地撤去の闘いを起こしていこう」と決意を述べた。
 また横田基地飛行差し止め訴訟団の浅野代表は基地被害の実態を報告。止めよう戦争への道! 八王子連絡会からは闘いの報告が行われ、続いて東京平和運動センター、社民党三多摩地区本部、民主党三多摩などが連帯のあいさつを行った。
 また、沖縄平和運動センターの崎山議長のメッセージが読み上げられた。
 そして「核も戦争もない二十一世紀を実現するには、軍事基地の強化は不要です。沖縄をアジア太平洋の軍事拠点の島から平和拠点の島にしていくために、名護の新基地建設を許さず、日本から米軍基地の整理・縮小・撤去をめざす闘いを沖縄の闘いと連帯し、力強く進めていこうではありませんか」との集会アピールを採択した。
 集会を終えるにあたり、約二十人の若者たちによるエイサーの太鼓と踊りで参加者の意気は一気に盛り上がり、デモ行進に移った。
 デモ隊は横田基地ゲート脇など約二キロをシュプレヒコールを上げながらデモ行進。デモ解散近くの繁華街の中から声援の声が聞かれるなど、米軍基地撤去に共感を寄せる市民に勇気づけながら、行進を終了した。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000