20000625

東京沖縄サミットめぐりシンポ

ひき続く県民の反基地の闘い


 沖縄県議会選挙の結果を受け、支配層と稲嶺知事は、普天間基地の名護市への移転が、沖縄県民の支持を得たかのように宣伝している。しかし、県民の闘いは引き続き堅持されており、七月の嘉手納基地包囲行動に向け、県内外の運動も広がりをみせてきている。わが国の進路にかかわる重大な問題として、沖縄に連帯する闘いを巻き起こすことが求められている。東京で行われた集会や沖縄現地の闘いについて紹介する。


 「シンポジウム・沖縄サミットと民衆の安全保障」が六月十八日、東京で行われた。主催は「戦争協力を拒否し、米軍基地の沖縄内移設に反対する実行委員会」。約二百人が参加し分科会討論などが行われたが、同全体会では、一坪反戦地主会の島田正博氏が発言した。その要旨を掲載する。
 
沖縄戦の清算許さない
一坪反戦地主会・島田 正博氏


 沖縄県議会選挙が行われ、与党が四十八議席中三十議席を占めた。公明党も政策協定を結び、与党となった。
 これを受け、稲嶺知事は「基地の名護移設が県民の理解を受けた」と述べている。しかし、改選前から比較すれば、二人の増減だ。破れたのは一人区で、公明党票の動向や、選挙戦術の問題があった。逆に、那覇では野党議席が増えている。基地に反対する県民意識は変わっていない。
 先の県議会では、一坪反戦地主を公職から排除する決議が採択された。採択前日にこれがわかり、県議会に要請行動を行った。陳情を提出した議員は防衛大学校卒で、われわれの要請に対して面会を拒否した。その他の与党会派は、陳情の中身すら知らないというありさまだったが、本会議では賛成した。この決議は、現在だけでなく、かつて反戦地主であった者も排除しようという、実にとんでもないものだ。
 さらに、新しい平和資料館の資料改ざんは、実は稲嶺県政総ぐるみで行っていたことが明らかになっている。
 この動きの背後には、稲嶺の政策ブレーンでもあり、「沖縄イニシアチブのために」を発表した高良倉吉・琉球大学教授らがいる。この「沖縄イニシアチブのために」は、「沖縄の再評価」を唱え、「日米同盟が果たす安全保障上の役割を評価する」「米軍基地の存在意義を認める」としている。また、「沖縄の歴史問題を克服する」と、悲惨な沖縄戦の経験をわい曲・清算することを主張している。政府は沖縄戦に関する資料をつくるとしているが、このメンバーには高良も入っている。いかなる政府の記録ができるか、火を見るよりも明らかだ。
 つまり、稲嶺知事は、沖縄戦の記憶を吹き飛ばそうとしており、米軍基地の存在を認めることが、沖縄が日本の中で「安全保障に大きく貢献する地域」として「主導性」を発揮できる武器であるかのように述べている。
 かつての米軍統治下でさえ、それを公然と肯定する理論は登場しなかった。稲嶺県政の危険性はここにある。
 こうした危険な状況に対し、県民がしっかりと目標をもって闘わないといけない。しかし野党は、その事実を県民に訴え、運動として展開する点で十分ではない。
 大衆運動は七月二十日の嘉手納基地包囲行動に向け、全国への発信を進めている。連帯する闘いを強めてほしい。


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