20000605

国民連合・東京 総会 隅谷三喜男・東大名誉教授が記念講演

沖縄を平和と交流の拠点に


 沖縄サミットが近づく中、普天間基地代替施設の県内移設に反対する広範な運動が、ますます重要となっている。この闘いは平和を求めるとともに、自主的でアジアと共生するわが国の進路を実現するための闘いでもある。「自主・平和・民主のための広範な国民連合・東京」総会など、国の進路の転換を求める各地の運動と、沖縄現地の闘いを紹介する。


 「自主・平和・民主のための広範な国民連合・東京」の総会が五月二十七日開かれ、約百人が参加した。
 「沖縄の心と日本の未来」と題して記念講演を行った隅谷三喜男・東京大学名誉教授は 、まず「日本人の歴史認識に狂いがあるのではないか。戦争中のことを、もっと理解すべきで、沖縄を理解するにはそれが第一だ」と指摘した。
 続いて、「第二次大戦中に、米軍が攻め入ったのは沖縄だけで、米軍基地問題を考える上でも、これは重要な問題だ」と語った。
 さらに「集団自決」など、民間人を含めて多くの犠牲を出した沖縄戦にふれ、「軍の命令によって、多くの人びとが自分の親子を殺すことを強制された。生き残った人は長い年月、それを語れなかった」と、友人から聞いた実話を紹介。
 戦後の米軍による委任統治については、「社会主義であるソ連や中国に対する砦(とりで)、さらにベトナム戦争にも利用された」と概括し、こうした歴史をきちんと認識することが重要だと述べた。
 また、「こうした歴史、苦悩の歴史が、若者に伝えられていない」と、歴史認識の重要性を指摘した。「沖縄は平和憲法への復帰を願ったが、本土復帰後も、基地の現実は変わっていない。つまり、憲法は適応されていない。核兵器もあることは確実だ。沖縄の空は、ほとんどが米軍の空域になっている。こうした沖縄の歴史と現状を、おさえなければならない。沖縄に負っている本土の責務は大きい。本土の人間は、これを理解すべきだ」と、本土の側の責任の重要性を指摘した。
 続けて国際情勢の変化にふれ、「ソ連は崩壊し、中国は市場経済化を進めている。米国には敵はいないはずだ。北朝鮮の脅威がいわれているが、米国は基本的に、話し合う姿勢だ。沖縄の役割は終わったはずだ」と、もはや米軍基地の存在理由はないと断言。「一方、情報技術の発達で、沖縄の基地がカバーするエリアは世界的に広がっている。だから、米国は沖縄を手放さない」と、米国の世界戦略を暴露した。
 米軍基地に代わる沖縄の産業政策については、「政府は、沖縄のごきげんをとろうとしているが、カネで買収されず、自治の要求も強い。東アジアの中の自由貿易基地として、沖縄の役割を考えられないだろうか」と提起した。
 また、「理念を掲げた運動は重要で、もっと情報化された運動となる必要がある」と、今後の国民各層の運動の方向性についても、問題提起を行った。
 続く質疑応答では、「思いやり予算」や、希少動物であるジュゴンのすめる環境を守る運動についてなど、活発な討議がなされた。
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 同総会には、広田貞治・社民党東京都連幹事長、谷口滋・東京教組副委員長、丸岡義博・日本書店商業組合連合会常任委員、田島省三・国労闘争団全国連絡会事務局次長などの来賓が出席、連帯のあいさつを行った。


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