20000415

東京厚木基地周辺住民が座り込み

米軍優先の政府を糾弾


 厚木基地に隣接した産業廃棄物処理施設に対する米国の操業停止という理不尽な要求と、これに追随する政府に対し、周辺住民は「米軍より爆音被害に苦しむ住民を守れ」と、怒りの声をあげている。厚木基地周辺住民は四月十三日、「厚木基地の爆音・ダイオキシン被害解消、日米政府の不公平行政を糾弾する県民行動」を行った。


 米軍厚木基地の夜間離発着訓練(NLP)や爆音被害に苦しむ住民などが四月十三日、防衛庁・施設庁に要請行動を行った。行動には、第三次厚木爆音訴訟団の原告住民や支援の労働組合など約二百人が参加し、代表による要請行動の一方、防衛庁前に抗議の座り込みを行った(要請文・別掲)。
 防衛庁前で開かれた集会では、まず、神奈川平和運動センター・宇野代表が、「厚木基地の滑走路が拡張され、大型戦闘機が飛ぶようになってから四十年がたつ。その間、住民は大変な爆音にさらされてきた。第一次訴訟も第二次訴訟も、騒音の違法性を認めており、防衛庁は違法状態を続けているということを自覚すべきだ。ところが、米軍から産廃施設問題が出されると、煙突を高くする、代わりの住宅を用意するなど、すぐに対処する。これは、あまりにも人をバカにした話だ。防衛庁は、日本国民の立場に立つべきだ」と、主催者あいさつを行った。
 続いて、厚木基地爆音防止期成同盟・鈴木委員長が発言し、「私たちは『米軍は厚木基地から出ていけ』と、四十年間闘い続けてきた。ところが、原子力空母の横須賀配備など、私たちの声はないがしろにされてきた。防衛庁や外務省に私たちの要求を突きつけ、一つでも二つでも、実現させていこう」と呼びかけた。
 平和フォーラム・佐藤事務局長は、「厚木基地は、世界でも類例をみないくらい、住宅密集地にある基地だ。全国的に運動の連携を進める」と述べた。
 東京平和運動センター・森本事務局長は、「政府の姿勢には、本当に頭にくる。厚木だけではなく、日本国民の命を守るため、東京でもがんばる」と、力強いあいさつを行った。
 なお、行動は環境庁、外務省などに対しても行われ、基地周辺住民の怒りを政府にぶつけるものとなった。


厚木基地米艦載機等の爆音被害解消に関する要請について (要旨)

 厚木基地米艦載機等の爆音被害解消については、かねてよりNLP訓練の硫黄島移転等を要請してきました。
 しかしながら昨年十月、本年二月のNLP強行実施や終日絶えることのない飛行訓練、編隊飛行は依然として激烈きわまる爆音を周辺住民にあびせ、容赦なく住民の生活を破壊し続けています。
 三月十五日には瓦防衛庁長官、翌十六日にはコーエン米国防長官、そして清水環境庁長官が相ついで厚木基地を訪れました。これは基地に隣接する民間産廃会社(エンバイロテック)の排煙ダイオキシンが、基地内米軍住宅に被害を及ぼすことの調査視察でありました。
 ダイオキシン被害を軽視するものではありませんが、四十年にわたる爆音被害に懊悩(おうのう)してきた周辺住民からすれば、政府の姿勢は著しい不公平行政と言わざるを得ず、激しい憤りをおぼえるものです。
 爆音被害を解消する要請が一部住民の特殊な要求ではなく、厚木基地周辺住民の共通の願いであり、要求であることを深く認識され、左記各項のすみやかな実現を要請いたします。
一、米艦載機の飛行訓練・爆音被害の実態調査のため、外務大臣、防衛庁長官などの現地視察を実施されたい。
二、米艦載機のNLP・全飛行訓練は、硫黄島で実施されたい。そのため、空母艦載機は硫黄島へ直結方式の実現を早期にはかられたい。
三、厚木基地開放・曲芸飛行は廃止されたい。
四、ダイオキシン排煙対策で百メートルの煙突を建設することは、被害を拡散し、周辺住民多数に被害がでることが懸念されますので、物理的・技術的に再考されたい。

二〇〇〇年四月十三日
社会民主党全国連合
厚木基地爆音防止期成同盟
第三次厚木基地爆音訴訟団
神奈川平和運動センター


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