20000315

ガイドラインの発動阻止 戦争協力拒否を職場から

20陸海空港湾労組がシンポ


 「ザ・シンポジウム 新ガイドラインの発動を阻止しよう!」が三月四日、東京で開かれた。本集会は海員組合、全国港湾、国労、航空労組連絡会など、陸海空港湾労組二十団体が呼びかけたもので、約千三百人が参加した。
 「国鉄のうたごえ」による歌が披露された後、主催者あいさつに立った国労代表は、「本集会の賛同団体は六十四団体に広がっている。自らの意見と関係なく戦争協力を強制される周辺事態法に対し、発動を許さぬ国民世論の結集が求められる。さらに、有事法制も阻止しよう」などと呼びかけた。
 村中哲也氏(日本乗員組合連絡会議副議長)のコーディネートでパネルディスカッションが行われ、参加した四氏がそれぞれ、ガイドライン関連法の危険性と闘いの展望を討議した。
 前田哲男氏(東京国際大学教授)は、ガイドライン関連法について「周辺事態法制定以降、盗聴法、住民基本台帳法改悪、国旗国歌法など、『新ガイドライン現象』ともいうべき事態が進んでいる。周辺事態法の問題点はまず、米国の戦争に協力するという戦争協力法であることだ。第二に、国会の承認なしに発動でき、事後承認でもよいという『戦争承認法』だ。第三に、地域・職場を協力のために動員する国家総動員法だ。今後、協力拒否者への罰則規定も出てくるだろう。これは明らかに、憲法の平和主義・地方自治の原則に反する」と規定した。
 さらに「もともと周辺事態という概念は安保条約にも含まれておらず、どの地域のことかわからない。戦前の関東軍同様、既成事実の追認で歯止めがかからなくなる可能性が高い」と、同法を批判した。
 太田千枝子氏(全日赤労組中央執行委員)は、「すでに北海道の矢臼別で演習が行われる度に、米軍は周辺病院の設備状況を確認している」と暴露した。さらに「医療という命を守る仕事は、平和の中でこそ行われなければならない。わが国では、現在九〇%以上のベッドが埋まっており、周辺事態で病院が接収されたり、兵士が大量に収容されたりすれば、すぐさま一般患者が大量に追い出されることになる。国民の医療が阻害される状況は許せない」と述べた。
 平山誠一氏(海員組合教宣部長)は、「海員組合は、すでに朝鮮、ベトナム、中東、イラン・イラク、湾岸の各戦争で、危険性を肌身で感じてきた。近代戦に前方も後方もなく、『安全な後方支援活動』はありえない。イラン・イラク戦争では、中立国の四百七隻の船が攻撃を受けた」と、戦争協力の危険性を語った。また、「命と職場の安全を守ることとは相入れない」と、協力を拒否する決意を表明した。
 井上ひさし氏(作家)は、「旧満州では、金持ちや身分のあるものだけが早く逃げることができ、一般の日本人は見捨てられた」と、日中戦争当時の現実を紹介し、「軍隊は国民を守らない」と述べた。
 まとめとして闘いの展望が討議され、「現憲法の枠組みがある以上、戦争協力への強制には限度がある。周辺事態法を発動させない闘いは可能で、勝利できる」など、労働組合の連携を広げていくことが確認された。


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