20000315

沖縄 7月に嘉手納基地包囲行動も

リコール署名へ態勢強化


 基地受け入れを表明した岸本名護市長に対するリコール(解職請求)運動に向け、沖縄では準備が進んでいる。また沖縄平和運動センター(崎山嗣幸議長)は、七月のサミットを機に、二万五千人規模の「人間の鎖」で嘉手納基地を包囲する行動を実施する方向だ。一方、在沖米海兵隊・海軍は十三日から二週間の予定で、約四千五百人規模の「特殊作戦能力証明演習」を、沖縄本島周辺海域などで実施している。さらなる基地機能強化を許さぬ闘いを、全国で発展させなければならない。仲村善幸・ヘリ基地反対協議会事務局長と崎浜盛一郎・沖縄高教組書記長の声を紹介する。


市民の関心、急速に高まる
仲村 善幸・ヘリ基地反対協議会事務局長

 ヘリ基地反対協議会は、名護現地の労働組合や住民団体が加盟する組織だ。現在は、基地受け入れを表明した岸本市長リコールを準備している。
 昨年十二月二十七日、市長が受け入れ表明をした際にリコール宣言を行ったが、その後、リコール署名に入る前の態勢づくりとして、三つを確認した。一つは、リコール署名の受任者を集めること。もう一つは、市民に「なぜリコールなのか」という趣旨を徹底していくこと。もう一つは、現市長が辞任するという動きがあったので、こちらも市長候補を準備することだ。これらをしっかり行って万全の態勢で署名運動に臨もうと、現在に至っている。
 受任者については、目標の六百人を大きく超え九百人を突破した。市民へのアピールについては、市民への浸透がおろそかになっていた面があったので、それを克服するために、市民講座やビラまき、街頭宣伝を行っている。
 この問題に関して、名護市民の関心は非常に高い。受任者の拡大も、当初は加盟各団体で集めたが、途中から全戸にビラ配布を行って受任者になる呼びかけを行った。その結果、かなりの人びとがハガキで申し込んでくれた。これは最近も続いている。地域的には基地予定地周辺はもちろんだが、市内各地域からまんべんなく集まっている。また、市民からは激励も含め、多くの問い合わせ電話がきている。
 県当局などは、「リコール運動はサミット後」という観測もしているようだが、こちらはそのような方針は出していない。運動にとっていちばんよい時期に、きちんと態勢をとった上で、と考えている。
 東海岸の住民団体は、道ジュネー(デモ)などを行っているし、反対協は、市民講座を開いている。これは三回開いており、新潟県巻町や徳島市の方を招き、住民投票の経験について学んだり交流したりしている。三月十五日には、大分県の湯布院から招いて学習を行う予定だ。各団体も、それぞれ学習会などを企画している。
 北部地区労と平和運動センターも、地域へのビラ配布一斉行動などを行ったり、学習会を行っている。受任者も、各労働組合からかなりの数が出ている。また、労組に加入していない教師や父母も、勉強会を地域で行っている。これらは非常によい動きだ。また、ジュゴン保護のために環境問題のグループが学習会やシンポジウムを行っている。
 このように、運動もだんだん幅広く、多方面からの取り組みが始まってきており、展望のもてる方向に来ていると思う。


再度、沖縄の実態理解を
崎浜 盛一郎・沖縄高教組書記長

 名護の市長リコール運動の準備については、平和運動センターを通して取り組んでいる。高教組北部支部は北部地区労に加盟しているので、名護周辺ではそこで連帯して運動に取り組んでいる。これまでの県民大会などにも、できる限りの動員で取り組んできた。
 現地でリコール署名開始と決まれば、名護周辺だけでなく那覇などからも、支援を送ることになるだろう。
 二年前の名護市民投票の時は、高教組は分会長クラスの全県的な会議を名護で開催し、会議後に、全体でビラ配りや署名運動支援などの行動を取り組んだ。
 まだまだ、沖縄の現状は本土の労組などに伝わっていないと思うが、県内の労働組合も県知事選に敗北して以来、一面では元気がないところがあった。しかし、ここへ来て現県政は、かなり反動的な色彩を強めている。
 知事になる前の稲嶺氏には、もう少し主体的に考える人物だという印象もあった。しかし実際はそうではなくて、日本政府のかいらい政権のようなものだ。政府のいうことを何でも聞くという政策をやっているので、これではまずい。こちらもその実態を見抜きながら闘っていこうと思っている。
 本土ではあまり報道されなかったようだが、沖縄では新平和資料館の展示物改ざん問題が大問題となっていた。これに見られるように、全国の関心も沖縄からよそへ行っていた面があるのではないか。沖縄の実際をもう一度、きちんと見てほしいと思う。
 高教組としては、平和資料館問題などとも結びつけて、今後も基地問題に取り組んでいく。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000