20000305

東京 ホットラインが開設集会

日の丸・君が代押しつけNO!


 「日の丸・君が代強制反対! ホットライン開設集会」が二月十九日、東京で開かれ、約百五十人が参加した。
 同ホットラインは、昨年十一月の天皇在位十周年記念式典の際、日の丸・君が代強制にかんする相談窓口として開設され、今回は卒業式・入学式での強制に備えたもの。
 主催者を代表して庭山英雄・元専修大学教授があいさつし、「憲法違反の『指導』という名の強制がまかり通っている。これは国民の自由・人権をどう守るかという問題だ。憲法学者も声明を出すなど動き始めており(別掲)、学生にも動きがある。相互に学びあおう」などと述べた。
 報告に立った俵義文・子どもと教科書全国ネット 事務局長は、「日の丸・君が代が歴史的にどのような役割を果たしてきたか、子供たちに伝えることが大事だ。周辺事態法や盗聴法などの流れの中に、国旗・国歌法を位置づける必要がある」などと提起した。
 続いて報告した三輪隆・埼玉大学教員は、「国旗・国歌法による強制は、国家が直接手を下さずとも、従わない少数者に対して抑圧的にはたらく。これは一種の環境型セクハラだ」などと述べ、強制に従わないことの意義を述べた。
 また、所沢高校生徒会、一橋大学の学生などから、日の丸・君が代強制の実態と、反撃の闘いが報告された。最後に、全国のホットライン活動で連携し合うことを確認した。


「国旗・国歌」の強制は許されません
憲法研究者のアピール(仮題・要旨)


 文部省は、九九年八月に公布・施行された国旗・国歌法をたてに、卒業式・入学式での国旗掲揚と国歌斉唱の実施を強く「指導」しています。このことが、学校現場に大きな緊張をもたらしており、大きな規模での人権侵害が各地で生じることさえ危ぐされます。
 すでに国旗・国歌法施行後、全国で日の丸に敬礼しなかったり、君が代を歌わない人びとに対し、行政上の懲戒処分などを含んだ、さまざまな「圧力」が加えられています。ここには、憲法上許容できない問題がいくつか認められます。
 まず国旗・国歌法は、日の丸(=日章旗)を日本の国旗、君が代を同じく国歌と定めているだけで、国民がそれらを尊重しなければならないという義務の規定をおいていません。 
 さらに大事なことは、もともと国旗・国歌あるいは日の丸・君が代をどう受けとめ、これらにどう向きあうかは、一人ひとりの個人が自己の思想・良心に照らして決めるべきだということです。
 憲法十九条は、思想および良心の自由が不可侵であることを定めています。
 卒業式・入学式での国旗の掲揚とそれへの敬礼および国歌の斉唱は、一つのプログラムとして式次第に組みこまれ、これらに抵抗感を覚える人びとが容易に抗(あらが)えない仕組みになっています。まして、精神的に発達途上にある子供たちにとって、これらの行為が押しつけられることは、精神的に重圧となります。日の丸・君が代を拒否した子供が、クラスメートからいじめられるような状況が、はたして「国旗・国歌への適切な理解」を生みだすでしょうか。
 仮に国歌斉唱などを学校の儀式に取り込むにしても、歌うこと、そのために起立することを拒む権利は、憲法十九条によって保障されています。したがって、児童・生徒や親は、立って歌うかどうかなどを、自分自身の判断で決めなければなりません。
 教師も、そこでは思想・良心をもった一人の個人です。誰かが決めた「正しい国の愛し方」を子どもに有無をいわせず押しつけることは、学校の、そして教師の任務ではありえません。
 文部省・教育委員会が、学習指導要領などを根拠として、特定内容の「愛国心」を子供に一面的な形で
押しつけるよう個々の教師に強要し、さらには職務命令と懲戒処分を「武器」として教職員に圧力をかけている現状があるなら、そこには、憲法上あきらかに許されないものが含まれています。教師の任務は、自分でものを考えることができる子供を育成することにあるはずなのです。
 私たちは、とりわけ卒業式・入学式における国旗・国歌の押しつけが多くの問題点をはらみ、「荒廃」と「崩壊」が叫ばれている学校をいま以上に息苦しい場にしてしまうことに危ぐをおぼえます。
 
二月十八日

【呼びかけ人】
内野 正幸(筑波大学)
笹川 紀勝(国際基督教大学)
塚田 哲之(福井大学)
成嶋 隆(新潟大学)
西原 博史(早稲田大学)


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