20000305

沖縄 リコール署名受任者、900人を突破

さらなる連帯の運動を

民間空港利用に抗議


 名護市市長のリコール(解職請求)運動準備など、沖縄県民の普天間基地県内移設に反対する闘いが続いている。このような中、在沖米軍の演習や民間飛行場への強行着陸なども起きており、沖縄と連帯し米軍基地撤去を求める全国的な運動の重要性は、ますます増している。沖縄現地の状況と、有銘政夫・違憲共闘会議議長の声などを紹介する。


 ヘリ基地反対協議会は二月二十一日、市長リコール署名の受任者が九百人を突破したことを発表した。署名運動については、三月二十日頃までにスタートする意向だといわれ、引き続きリコール成功のための学習会などを行っていくことが確認されている。

地元説明会を要求

 ヘリ基地いらない二見以北十区の会は二十八日、岸本市長と面会し、移設予定地である十区での住民説明会開催を要請した。同会は先日、千人以上の反対署名を提出している。住民は、市長が説明会開催に同意していながら、いまだ開催されていないことを批判し、「地元への説明が最優先のはず」などと抗議した。
 これより先にヘリ基地反対協議会のメンバーは二月十八日、名護市に対し、岸本市長による普天間基地移設受け入れ表明の撤回を申し入れた。
 同協議会の要請文では、コーエン米国防長官が十五年の使用期限を明確に拒否したことで、岸本市長の受け入れ条件は否定されていると指摘、事実関係を政府・防衛庁に確認することなどを求めている。メンバーは「市長は受け入れを撤回すべき」「市長自らが市民に答えるべきだ」など、非難の声をあげた。
 二見以北十区の会、心に届け女たちの声ネットワーク、やんばる女性ネットは二十六日、へリ基地問題についての思いを書いたハンカチの募集を始めた。メンバーらは、名護市内で市民に呼びかけ、ハンカチへの書き込みを募った。市民からは「ジュゴン大好き」「基地ができたら自然がなくなる」などのメッセージが多く寄せられた。

米軍演習に抗議の声

 こうした中、沖縄では新ガイドラインに基づく全土米軍基地化ともいえる状況が進んでいる。
 米比合同演習に出動途中の普天間基地所属のヘリコプターなどが十五日、石垣空港に強行着陸した。米軍施設でない同空港の利用は、沖縄県などがかねてから自粛要請を行ってきたが、それを無視したもの。これに対して、県議会や石垣市議会は抗議決議を行った。また平和運動センター八重山支部も、「新ガイドラインの地ならしであり、既成事実を重ねようとするやり方は許せない」などと怒りをあらわにしている。
 さらに、在沖米軍は二十九日から、四軍統合演習「ビーチクレスト二〇〇〇」を沖縄本島周辺の訓練空域、海域で実施している。予定は三月十一日までで、在沖海兵隊など約二千人が参加する大規模なもの。実態は、二十二日からの米比合同演習と連動したものである。
 このため、沖縄本島周辺には、米軍専用の常設訓練空域以外に、別途訓練用空域が設置されている。民間機はこれを避けて航行するため、いままで以上に危険な飛行を余儀なくされている。


全国で名護包み込む運動を
有銘 政夫・違憲共闘会議議長

 違憲共闘会議傘下の団体も、基地の県内移設に反対する県民会議に参加し、運動を担っている。
 名護現地は着実にがんばっており、私たちも全県的な激励や集会参加など、日常的な支援体制を組んでいる。全国的には、これを大きく包みこんで支援するような運動が求められるのではないか。首都圏では、昨年末に名護住民へのカンパ運動が取り組まれたが、このようなことは重要で、現地にとっても非常に激励されるだろう。
 これを沖縄だけの問題だと思うのは正しくない。全国の米軍基地の七五%が沖縄にあるが、七五%になったのは、六〇年の安保闘争以降だ。つまり、関東を中心にした海兵隊基地が、本土の安保闘争の結果沖縄に統合され、首都圏の基地は四分の一になった。
 その結果、沖縄の米軍は七五%が海兵隊だ。これは、沖縄は日本国憲法のもとにないということだ。これを許すことは、沖縄だけでなく、日本全国にもそういう状況を認めることになる。改悪された駐留軍用地特別措置法も全国を対象にしたもので、日本全土が米軍基地になりうる。
 沖縄の問題という認識が続く限り、本土側の受け止め方は弱くなり、危険な状況を許してしまう。全国、とくに労働者や運動を担っている人びとが主体的に考えてほしいし、そうして初めて状況を変えることができる。
 名護現地と沖縄県民の関係も同様で、私たちはこれを名護の問題とは考えていない。
 もちろん、沖縄県民はこの状況を黙っていないし、とことん闘う。全国で、政府に対して県内移設をやめるよう要求をぶつける直接行動が必要だ。


東京 名護への支援訴え学習会

 「沖縄・名護に新たな米軍基地をつくらせない大集会実行委員会」主催の「沖縄学習会」が三月一日、東京で開かれた。
 同実行委は、名護現地と連帯しようと、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックや日本キリスト教協議会が中心となり結成されたもの。
 学習会では、新崎盛暉氏(一坪反戦地主会代表世話人・沖縄大学教授)が報告を行った。新崎氏は政府、稲嶺県政を批判し、「稲嶺県政は、政府の振興策を目当てにした経済優先の県政だ。政府や米政府は、これまでずっと、沖縄の産業を基地に依存させる仕組みをつくってきた。名護市では、市財政に占める基地関連収入の割合が九七年には約八%程度だったが、九九年には一七・五%にもなった」と述べた。
 続けて「しかし、基地関連収入や各種振興策でも県民多数が動かないという点に、沖縄の運動の強さが示されている。いくらサミットで騒いでも、名護には基地移設を許さないという雰囲気がある」と紹介、名護市民との連帯を訴えた。
 次に発言した世界自然保護基金日本委員会の花輪伸一氏は、「五十頭程度のジュゴンが辺野古海域に生息している。ただでさえ絶滅寸前なのに、ヘリ基地建設となればジュゴンのすむ海域は大打撃を受ける」と、環境を破壊する基地建設に反対する立場を表明した。
 同実行委は三月十七日、東京で集会を予定している。


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