991215


同窓会

中島 良満


 久しぶりに中学の同窓会に参加した。名前を聞いても昔のイメージとまったく重ならないやつから時間が止まっているとしか思えないやつまで、実にさまざまな年のとり方があるもんだと感心してしまった。
 Aは、そのころから秀才として有名で、一流国立大学に入ったところまではうわさで聞いて知っていた。姿かたちも、物腰も昔とまったく変わりないのだが、どことなく元気がない。よく聞いてみると、勤め先は、(今のところ)長銀だという。長銀出身なら再就職も困らないだろうと思ったが、実はそうでもないらしい。山一と証券業界の関係に比べると、長銀の銀行業界における評判はよくないのだそうだ。
 Bは、工業高校から福祉系の大学へ行き、いくつかの職業を経て医療機器メーカーに勤めていた。仕事は順調で営業成績もよく、地元の営業所長を任されるまでになった。しかし、取引先の外資系メーカーが、ある日突然取引の中止と直系子会社づくりを決定したため、会社は倒産。退職金も未払いのままという。業界他社から数件の誘いがあるため、路頭に迷うことはないのが不幸中の幸いだ。
 Cは、某自治体から愛知万博関係の職場に出向している。万博の是非はともかく、そこなら倒産のおそれもないし、仕事も楽しいだろうとみんなに言われていたが、本人は浮かない顔だ。よく聞いてみると、万博関係に携わる職員の中でも、万博が成功すると思っている人はほとんどいないらしい。それどころか、上層部には、「海上の森」からの撤退によって、計画が白紙に戻ること(自分に責任がかぶせられない形で中止になること)を望んでいるふしがあるそうだ。
 ほかにもいろいろな話が聞けたが、総じて暗い話題が多い。しかし、それを語る本人は意外とあっけらかんとして楽しげだ。倒産にも、リストラにも、大プロジェクトの迷走にも負けず、下町育ちの労働者はしぶとく生きている。 


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