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複雑な事情もつ保護世帯
不安紹介できる仕事もなく

働き盛りが職安に列

自治体ケースワーカー 岡谷 幸治


 師走の寒さが一段とこたえる毎日です。とりわけ不況の中で、リストラと倒産、失業の増加、改悪された派遣法など、労働者を取りまく環境の厳しさは他人事ではありません。
 私は公務員で福祉関係の仕事を担当しています。生活保護世帯のケースワーカーとして数十の世帯を受け持ち、毎日訪問することで受給者の現状を把握し、必要な「指導」にあたるわけです。
 生活保護世帯の実情は多岐にわたっており、複雑で、個々バラバラのたくさんの事情があるわけで、一言では語れません。職業とはいえ、親身になることと、仕事上必要な職務の中でいろいろと考えさせられることが多く、頭がいっぱいになります。
 できるだけ多くの世帯に仕事をあっせんする必要もあり、私たちの仕事の一つに、ハローワークに出かけることがあります。簡単に言えば求職情報をきちんとつかむためです。
 ところが、今年になって週一度ハローワークを訪ねると、大変な人です。これほどの職を求める人は見たことがありませんでした。「失業率が高い、増加している」「職安は人であふれている」と人には聞いていましたが、想像を超えるものでした。
 今年一年ずっと定期的に足を運んでいますが、減った感じはなく、むしろまだ増えているというのが実感です。求職紹介でずっと内容を見てきていますが、条件的にはなかなか難しいものが多く、私が担当する人たちに紹介できる内容は限られています。
 働き盛りの人たちが列をなして、順番を待っている姿には、本当に職がないことに対する失業者の怒りや不安を感じます。駅前の一等地に位置するハローワークが「盛況」で、そこから百メートルの距離にある立派な高層ビルの地下の商店街が、買い物をする観光客でごったがえしています。そこを歩くたびに、何ともアンバランスを感じます。
 
労組は社会的責任果たせ
 
 大企業優遇の政治が続く限り、このままでは、将来に対する不安はますます拡大し、労働者の生活安定、失業者の減少などは、とても見えてきません。大手企業のリストラはさまざまな形で進み、連合よりも政治家が雇用不安を言いたてるなど、ここしばらくの労働運動の沈滞が、いろいろな意味で問い直されていると思います。
 企業に社会的責任が問われるように、労働組合にも社会的役割があるのは当然であり、闘うことが求められていると思います。 


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