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組合の無力化狙う経営者
非組の不満も代弁し闘う

力関係の逆転めざすぞ

福祉施設労働者 富山 秀寿


 特別養護老人ホームに勤めています。職員数は約四十人で、労働組合は全国一般に加盟しています。中小零細の職場で働くものにとっては、労働組合があるかどうかは、単に労働条件の善しあしという以上に労働者、人間としての当たり前の権利や尊厳が守られるのかどうかというような点で大きな違いがあると思います。そんな意味で、全国一般のような組合は大きな役割があると思います。
 私の職場でも、職員の採用や人事問題など経営者の胸先三寸というようなことは当たり前で、職場や労働者を私物化するし、経営者と対等にものを言うなどというのは「もってのほか」で、働く側も縁故採用で「雇ってもらっている」というような意識が強いのです。
 そういうなかで、組合は職場闘争も熱心に闘い、地域でもそれなりに闘ってきた歴史があり、地区労運動なども一生懸命やってきました。
 経営者のほうも、組合をなんとかなし崩しにつぶしたいということで、縁故採用を増やし、「組合はあってもなくても同じ」というような職場の雰囲気をつくってきました。そうしたことに、ここ数年十分に反撃ができない状況が続き、組合員の定年退職などもあり、組織率も半分を割るようになってきました。
 そうなれば経営側は、組合と非組合員を分けて対応するようになり、組合とは交渉しても、非組合員には別の対応をし、組合の要求が通らない状況がつくられてくるようになりました。
 私は、以前は組合の役員をやっていたのですが、この数年役員を退いていました。今年の秋の役員選考で、どうしても今の体制ではうまくいかないということで、再び書記長を務めることになりました。私自身も、このままでは職場の力関係はますます弱くなっていくと心配していましたので、あえて引き受けることにしました。
 最近の職場の状況は、介護保険制度のスタートを前に、やたらと「介護福祉士」などの資格を取得する(もちろんこれ自体は悪いこととは思いませんが)ことがはやり、そうした資格を取得した人たちを中心に、勉強会などが時には夜遅くまで「自主的」にやられています。これには、組合員の一部も参加していますが、経営者側からの何らかの働きかけがやられているようです。
 冬のボーナスでも、組合の要求は一蹴され減額されました。力関係を逆転させるためには、組合の組織拡大が何といっても第一の課題です。
 身勝手な経営者ですから、非組合員の中にもいろんな不満があります。今は仕方なく黙っているだけです。大きな要求はいっぺんにはむずかしくても、小さなことでも、そこに目をつけて、非組合員とも共通した問題で要求を勝ちとれば、非組合員の中での組合の影響力を広げ、組織拡大の条件も生まれると思っています。最近、意識的にそうした要求をぶつけることを進めています。具体的な成果も少しずつ勝ちとっています。
 最近「もの分かりが悪い組合」というのが、合い言葉のようになってきているようですが、来年はそういうことも意識しながら、組織拡大、力関係の逆転をめざしてがんばりたいと思います。 


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