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耐えられぬ毎月5万3千円の負担

冷酷無比な介護保険

畑田 卓二


 私は団塊の世代、中年サラリーマンです。扶養家族を6人抱えています。妻、大学受験生2人、高校受験生1人、それと父母です。介護保険が始まると保険料を支払わなければならない人数が自分を含め、4人になります。地方自治体によって収める保険料の額が異なるようですが、おおむね1人当たり2千5百円とすると、4人分の保険料は、月に1万円になります。さらに、父はまったく寝たきりですのでおそらく要介護度が5になるはずです。
 そうしますと、サービスを受ける本人負担が一割ですから、負担金は約4万3千円にもなります。父は国民年金から月額約6万円もらっていますが、介護保険の負担金を支払ったら生活できません。母は75歳ですが、年金に入っていなかったので、年金は受けていません。したがって、介護保険の保険料と負担金合わせて、毎月5万3千円の新たな負担が家計にのしかかってきます。
 さらに、子供たちの入学金、授業料などの資金を国民金融公庫から借り入れることにしていますので、借入金の返済が月々、2人分で約7万円になりそうです。介護保険と教育ローンを合わせて、なんと、月額12万3千円もの支出増になります。私の給料は手取りで30万円程度です。リストラの風も吹いてきています。給料は上がる見込みはなく、下がるかもしれません。昼間、サラリーマンでしがみついて、夜は人知れず深夜の肉体労働アルバイト。睡眠時間は数時間。もうこれ以上働けません。
 「介護サービスを受ける人が保険料を負担すべきだ」などとスネをかじっている子供のようなことを考えたのは一体誰なんだ。どうやって大きくなったんだ、誰に育ててもらったんだ。皆、いずれは老人になるんだ。寝たきりの、働きのない老人が保険料を支払ったり、負担金を支払ったりできるわけがないだろう!
 50歳近辺の「団塊の世代」は今、一番苦しんでいる世代でしょう。それにもかかわらず40歳以上から保険料を負担させるとは、一体どういうことなのか理解できない。寝たきりの老人から負担金を取るなどといった冷酷な徴収方法(実際は扶養している人が払うことになる)はやめてもらいたい。
 知識人やマスコミは「まじかに迫ったこの時期になってとんでもない、選挙対策だ」などと、厚生省や一部の自治体の立場に立ち、これから始まる介護保険制度が素晴らしいものであるかのように報道していますが、実際に金を払う立場の人びとの苦しみの声に耳を傾けるべきではないでしょうか。 


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