私は、電気製品の卸売りをしている自営業者で、妻とパートの女性の三人で仕事をしています。
政府は、日本の経済は回復のきざしが見えてきたと言いますが、私にはそのような気配は感じられません。取引先の人たちも、一様に売り上げが減少し、廃業するかどうかも含めてこれからの生活をどうするかという話題ばかりです。
このごろ、悪徳商工ローンの強引な取り立てが報道されています。このニュースを聞くと、日栄や商工ファンドのような会社が急成長できる社会にした政治の責任と、商工ローンに融資を続けてきた銀行に怒りを感じます。
親しくしている会社の話ですが、昨年の夏ごろ、銀行や国民金融公庫へ融資のお願いに行っても、担保がなければ貸すことはできないと断られていました。貸し渋りが盛んにいわれていたころです。「定期預金や不動産などの担保があるくらいなら、このもうからない時期に金利を払ってまで借りたくはないよ」とこぼしていました。
昨年末に国の緊急融資が決まるのですが、この時、銀行の担当者が率先して手続きに同行してまで緊急融資の借り入れを勧めたそうです。なぜだと思いますか。緊急融資で受取る金額の中から、銀行からの借り入れを全額返済して、残りのお金を渡されたそうです。
税金で銀行救済は許せない
多額(一千万円)の緊急融資を受けても、一度も銀行への返済が遅れたことなどないにもかかわらず、銀行への返済(七百万円)が引かれたので、実際に使えたお金は三百万円だったそうです。それでも、緊急融資がなければ一銭も借りることができなかったのでよかったとは言っていましたが。
私は、債権の回収を優先する銀行のやり方に反感をもちます。本来なら銀行からの借り入れは、長期間で返済する契約の上で行われています。国の緊急融資については、別枠で資金を使えないと本来の目的にそぐわないわけです。それが銀行の不良債権の回収に利用され、さらに公的資金投入で国民の税金がつぎ込まれた銀行が、そのお金を使い悪徳商工ローンの手助けをして、資金繰りに困っている中小業者を食い物にしています。
国の緊急融資は、借りる人が保証協会に借りる金額に応じてお金を積むので、倒産などで支払いが不能になっても銀行は国から債務の保証があるので困りません。絶対に損をしないところにはどんどん融資して、弱い所からは強引に回収して切り捨てる…。こんな銀行に国民の税金を使って救済などしてはいけないと思います。
政府は「中小企業国会」などと、中小企業を支援するかのように宣伝していますが、本質を暴露し、大企業、財界のための政治を進める自自公連立政権に反対する声を広めていきます。私たちのような弱い者の側に立って闘う勢力を拡大することが、政治の変革のために今こそ必要なのだと思います。
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