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米国流押しつけるフォード
闘う姿勢打ち出した労連

労資協調ではもうダメだ

マツダ下請け工場労働者 河本 博之


 皆さん、お元気ですか。いま、自動車業界には大きな荒波が押し寄せています。ルノーと提携した日産、クライスラーと提携した三菱でも大リストラが進んでいることは、マスコミでも大きく取り上げられているので、よくご存じでしょう。
 私が働くマツダは、米国フォードと資本提携していますが、九六年にフォードの出資比率が三三・四%まで引き上げられ、フォードから来た米国人が社長になりました。かつて「ロータリーエンジンのマツダ」と世界に名をはせたマツダですが、いまやマツダのロータリー車は「RX―7」だけ。九八年の生産台数は千四百二十三台で、〇・二%程度にすぎません。
 マツダは城下町を大切にしてきましたが、フォードにとっては地場の企業がどうなろうと、関係のないことです。地場の下請け会社は生き残りをかけて、国際基準である「QS9000」の認定をとるのにやっきとなっています。
 その国際認定というのは、労資関係、社員教育にまで立ち入ったものです。たとえば工場に調査に入り、労働者に直接「あなたの仕事はなんですか?」と質問し、ちゃんと答えられないと、労働者が自分の仕事を理解していない、社員教育がなってないということになります。それに対応するために、マニュアルを書いたポケットブックが配られています。
 また、「赤字の会社は一時金なんか出さなくてもよい」という米国流のやり方を押しつけてきます。外国人社長は短期間に実績を上げなければ自分の評価が下がるので、いっそう性急なやり方を押しつけてきています。
 マツダは輸出でもうけていますが、フォードは部品についても、安くて品質の良いものを世界のどこからでも調達します。だから、販売と部品会社が業績が悪くなっています。国内販売のシェアがなくなると、仕事量が三分の一くらいに減ってしまい、いっそうのリストラが心配です。

共闘することで効果的に闘える

 「このままフォードのやりたい放題の経営をやらせていたらマツダは消滅してしまう恐れが十分にある」という思いが強くなっています。だから、九月の全国マツダ労連定期大会では「闘う姿勢を鮮明にし、是々非々で対応する。もの分かりの悪い組合になる」という方針転換が出てきたと思います。
 定期大会では方針転換に反対意見は出なかったと聞いています。現場では賃下げや人員削減、倒産などが相ついでいますから、当然です。
 方針転換は歓迎ですが、これまで労資協調で「平和」にやってきたので、ほんとうに闘えるのか一抹の不安があります。スト権投票のやり方もわからない組合もあるだろうし、それなりの回答が出ている組合が脱落するかもしれない。労連は闘う姿勢を見せることで、来春闘の低額回答への予防線をはっただけかもしれません。
 それでも、職場でストをうつ場合、バックがあるということで闘いやすくなります。一つの会社だけで闘うよりも効果的に闘える。共闘することで、労働者がほんとうの力を発揮することができるようになると思っています。 


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