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私はデイケア担当

皆が楽しく過ごせるように
でも介護保険でピンチに

広島県・医療労働者 島田 律子


 十月に入ったとはいえ、まだまだ残暑きびしい毎日ですね。労働新聞を読まれている全国の皆さん、お体の調子は、いかがでしょうか。
 私は医療に従事する者ですが、この不況と医療改悪によって、体調をくずす患者さんをたくさん見ています。
 私はデイケアを担当しています。月火木金と週四日間、一グループ十人を二人の職員と四〜五人のボランティアさんでお世話しています。痴ほうの方、車イスや麻痺(まひ)のある方、一人暮らしの方など、さまざまな方が参加しています。最高齢は九十一歳、すべての方に満足して楽しく過ごしてもらえるために、とても気を使います。
 特に、言葉づかいには注意しています。一人だけポツンと座っていることのないようにと気くばり、目くばり、からだくばり、自分の身体が二つか三つに分けられるといいネ! と相棒の職員と話をします。
 私はデイケアの日は、朝から自分のテンションを高め、気分をハイにして出勤します。できるだけ明るく元気に、一日中笑顔で接することができるようにと!
 担当になって三年、やっと皆さんの性格、個性、生い立ちなどが分かってきました。一般的な会話だけだった人が、「家庭内の問題でつらい毎日だが、ここに来ている時は心から安らぐ」と、悩みもうちあけてくれるようになりました。
 今回の介護保険が実施されると、現在参加している方の半分近くは、デイケアやデイサービスを受けられない方が出てしまうという大変な事態になります。
 脳梗塞(こうそく)などで半身麻痺の方でも自分で歩けて、自分で食事や日常のことができれば、人によっては認定が受けられない人も出てきます。
 高齢で子どもがおらず、年金で細々と一人暮らしをしている方は、やっとの思いで生活されているのです。週一回のデイケアやデイサービスで生きる喜びを感じてがんばっている人たちに、「もう参加することはできませんよ」なんて、私にはとても言えません。
 介護保険で要介護と認定されなければ「三百六十五日、家庭で介護しなければなりません。本当にどうしたらよいのですか」と、私たちに介護する側の悩みや苦労、行政への苦情を言う人もいます。一人で寝たきりの姑(しゅうとめ)さんの面倒をみている方は「週一回デイケアを行っている日だけが、私の自由な時間なんです」と言われます。
 デイケアではリハビリ目的に手作業でいろいろな物をつくったり、ゲームをします。畑づくりも行い、自分たちで収穫した野菜を昼食で食べたり、季節に合わせてお花見や美術館めぐり、先週は秋の味覚の栗拾いに行きました。
 私たちの仕事は繊細かつ肉体労働です。真っ黒になりながら皆さんといっしょに楽しんでいます。
 私一人の力は小さいけれど、何かできないかな? と思っているちょっぴり寂しい今日この頃です。 


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