990925


家族で思い切って沖縄へ
つらい戦争の過去、平和…
すばらしい自然も満喫

子どもたちは学んだろうか

主婦 松田 亜矢


 今年の夏、中三の娘、中一の息子、それに四十二歳の夫と私の四人で思い切って沖縄へ行ってきました。思い切ってというのは、子どもたちはそろそろ親離れの時期ですし、かねてからの念願であった沖縄という土地は、やはり思い切らないと行けない遠い所という意味です。
 子どもたちは飛行機すらも初体験、というのに現代っ子は外の景色よりも漫画本に夢中、二時間ちょっとで南国行きです。飛行機を降りて見た景色は、さすがに空も海も風や空気さえも素晴らしいものでした。さっそくレンタカーを借りて市内(那覇)めぐり、ホテルへ。
 今回の旅の目的は二つありました。一つは沖縄の素晴らしい自然を満喫して思いっきり羽根を伸ばすこと。もう一つは中学生の子どもたちと一緒に沖縄の人びとがたどってきたつらい戦争の過去を知り、平和を学習することです。後者の行き先は、在日米軍の基地、佐喜真美術館、ひめゆりの塔、平和の礎、それから旧日本海軍の壕(ごう)、他にも夫の案内でいろいろ回りました。子どもたちはおいしいものを食べ、いっぱい遊び、それから、何か大切なものを学んでくれたに違いない。親として、ひそかに願いつつ沖縄の地に別れを告げました。
 以下は、一緒に行った娘の感想文です。

 沖縄の海はきれいだ。夕日が落ちるところなんてもうずっと見ていたいと思うくらいにきれいだ。雲の色は瞬間ごとに、本当にいろんな色に変わっていって、ゆっくり暗くなってゆく。天国とかあったらこんな感じかな、とも思った。まるで別世界だ。
 こんなきれいな風景を見てると、昔ここで戦争があった事なんて忘れてしまいそうになる。戦争、というけれど私は戦争についてほとんど何も知らない。歴史の教科書に書いてある事なんて表面的なものだし、たかが知れている。そんなのではなく、もっと身にしみて、戦争の事を知っておきたいと思った。
 佐喜真美術館に行った。なんか悲しい絵がたくさんあった。
 中でも、集団自決をしてる人達の絵は印象に残っている。死ぬために手榴弾を下さいと言ってももらえず、カマやクワやこん棒で自分の子供を殺し、自分も死ななくちゃいけなかった人の気持ちはどうだろう。
 そんなの言葉で言い表せない。罪悪感とか虚無感とか疑問とか悲しみをたくさん抱えたまま死んでった人が実際にたくさんいるのだ。
 生きたまま苦しんでる人だってたくさんいる。それを知ってか知らずか、世界中でいろんな国が戦争して、たくさんの人が死んで、たくさんの人が苦しんでいる。戦争をして、人の死と苦しみ、憎しみをつくってまで得るものなどあるのだろうか。戦争なんか今すぐやめてほしい。 


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