990925


運動会に米軍戦闘機

公務員 大和田 孝一


 みなさん、ちょっと想像してみて下さい。
 秋空のもと小学校の校庭では、運動会が行われています。開会式、徒競走……とプログラムが進む中、突然学校のすぐそばにある米海軍厚木基地で空母艦載機による曲技飛行が始まりました。
 耳をつんざくような激しい音を出し、編隊を組んで飛んできたかと思うと、まさに校庭の真西の空で、いくつもに分かれ旋回して戻ってくる戦闘機。グーンと垂直に飛んだかと思うと、木の葉のようにくるくる回りながら、地面すれすれかと思われる程に急降下し、またグーンと上がっていく米軍機。演技中の子どもたちの様子を写そうとカメラを向けると、子どもたちの姿と戦闘機が一つの枠の中に入ってくるのです。
 このように想像しただけでもぞっとするような、そして怒りのあまり体中がピリピリするようなことが、現実に行われようとしているのです。
 米軍厚木基地は、九月二十五、二十六両日に航空ショーを予定しています。この日は大和、相模原、座間、海老名、綾瀬の小中学校八十五校の運動会と重なり、曲技飛行の騒音が運動会の運営を妨げようとしているのです。爆音によって、音楽や合図の音がかき消され中断してしまいます。爆音もさることながら、急上昇・急降下・きりもみ飛行などで、墜落の恐怖も重なります。
 まさに、米軍機の爆音に運動会がこわされようとしています。この現実は、運動会と重なった今年だけでなく、毎年抱えている悩みでもあります。地域の人と友好関係を結ぼうとして行われる航空ショーは、近隣の市よりも、遠方からのファンが多く、私たち住民は矛盾を感じています。
 基地渉外部によると、騒音の出る曲技飛行は、二時以後は検討するとのことですが、中止しなければ意味がありません。なぜなら、曲技飛行の練習は、必ず行われるからです。曲技飛行練習のために、運動会の練習が邪魔されます。また、二時頃はまだ運動会は終わっていません。騒音と墜落の恐怖は、たとえ別の日になっても中止しなければずっとついてきます。
 当日の天候のことはどうすることもできませんが、楽しい運動会を外部からのもので邪魔されたくありません。安全な場所で、練習の成果を思う存分発揮することができる環境を望むことは、ごく当然のことです。このごく当たり前のことが保証されなくて、何が日の丸・君が代かと思うのです。 


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