990825


苦しい生活にまた負担増

介護保険は誰のため?

大阪 岸本 和美


 私は六十八歳の専業主婦です。

 六月から体調を崩し、約一カ月間、入院生活を送りました。二年前にも同じ病院に入院したことがありますが、まず病院の雰囲気の変化に驚きました。それは、寝たきりのご老人が非常に増えていることです。

 来年の四月から介護保険制度がスタートします。病院でもやはりその話題が出ていました。入院患者のご家族の方からは、「これまで通りの病院生活は送れるのか」「入院費用はどうなるのだろう」といった不安の声が聞かれました。

 次男にそんなことを話してみると、次男は「これまで税金でまかなっていた半分を国民に保険という形で負担させるものだよ」「大半の人は、負担だけ増えて、保険料掛け捨て。自分が介護が必要になった時に、受けられるかどうかもわからないといわれている」と教えてくれました。その保険料も、私の場合、年金からの天引きになるとのこと。

 年金で細々と暮らす私たちにとって、これ以上、毎月の支出が増えるのは、たまったものではありません。私たちの住む市では、夫婦二人で六千円から一万円の保険料がかかるといわれています。

 政府は消費税導入や税率上げの際には、決まって「二十一世紀の高齢化社会に備えて」だとか、「福祉のため」とかいってきました。それなのに、さらに介護保険という形で、国民負担をまた増やす。政府や政治家は何を考えているのでしょうか。あの人たちは私たち庶民の生活の実際を知っているのでしょうか? 銀行には湯水のごとく税金をつぎ込む。そしてその銀行はリストラを進めて、失業者を増やす。

 やはり、今の政府のやり方はおかしいです。困った人たちを救うのが、政治の本来の使命ではないのでしょうか。そんな政治の実現を、願う市井のものです。


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