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委託労働者との連帯が必要

アウトソーシングで存亡の危機に

生協労働者 高島 誠二


 私は地域購買生協に勤めています。

 生協は団塊の世代の社会進出とともに成長してきました。日本独特の「班」の創設は配送効率を高め(一ヵ所に配送することによって、何人もの組合員に商品を届けられる)、また、資本投下もバラックほどの建物とトラックがあれば事業を開始できるなどによって、急成長を遂げてきたのです。

 しかし九〇年頃から「班」の構成員が減少し、一人当たりの買い上げ金額も低下してきました。最盛期には一人当たり九千円ほどあった買い上げ金額が、現在では六千円前後となっています。

進む外部委託

 そこへ登場してきたのが「個別宅配」です。これは「班」に配達するのではなく、組合員個人に配達をするものです。この業態は圧倒的な伸びを示してきました。この「個別宅配」が成長してきた背景はいろいろな要素がありますが、私たちが問題としなければいけないのは、この事業が生協の職員の配送ではなく、業者委託としてやられているということです。

 考えてみれば、共同購入の「班」への配達に比べれば、「個人宅配」というものは配送効率は最悪です。したがって、職員の配送では採算がとれるわけはなく、必然的に一日何十万円という業者委託になるのです。その業者の配送員も何名かを除いてはアルバイトを雇っています。

 そしてこの「個別配達」は、共同購入の売り上げを上まわる生協が輩出してきていますし、ある生協では共同購入も業者委託をしようとしているところが出てきました。このような生協では職員の退職が激増しています。まさに今、生協職員の労働とは何かが問われています。つまり今流行りの言葉で言えば、アウトソーシングにどう対処していくかが私たちの切実な課題となっているのです。

夏休みもなし

 最近では夏休み稼動(今まで八月のお盆の週は生協は休みであった)を理事会より提案され、労組は反対したものの、現場の労組員が十名強しかおらず、あとは委託業者だったので条件付きで受け入れざるを得なかった生協の労組もあります。

 このアウトソーシングは現場だけでなく、間接部門にも大幅に導入されつつあります。間接部門の人が退職しても人員補充をせず、派遣労働者を導入し人件費を押え込もうとする職場が増えています。

 私たちは今、このような委託先の労働者や、派遣の労働者との連携の道を探ることなしに、生協労働者の未来は見えてこないと考えています。


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