990715


どうなる?日本の農業

子供たちも田植えに挑戦

谷川 伸吾


 皆さん、お元気にお過ごしですか。梅雨に入り、すこしダークになっていませんか。私の職場はリストラが進み、以前と比べると仕事がたいへんきつくなっているのに、職場の組合活動は活発ではありません。

 私はいま地域の運動にかかわっているので、そのことをお便りします。私は、細川政権時にコメの市場開放が強行されて以来、地域に定着した「コメの会」の代表をやっています。 

 主な活動は体験農業を柱にした、春の田植え、夏の草取り、秋の稲刈りと収穫祭です。それらの行事を定期的な打合せで相談しながら進めています。会の取り組みに快く賛同し、田んぼを提供してくれるお百姓さんの協力が大きな支えとなっているのです。

 私たちの会で最近、梅雨入り前に、子供たちや地域のお母さんたちといっしょに、田植えの体験作業を行いました。当日は、日差しが強く気温が三〇度近くに上がりました。参加者は慣れぬ手つきでしたが、無事田植え作業を終えることができました。

 近くの学校から参加した子供たちも、泥んこになりながらも、一生懸命メンバーの指導を受けながら格闘し、貴重な体験となったと思います。最近の子供たちは、家の中でのコンピューターゲームや塾通いで勉強している時間が多いと思います。外での遊びや体験が少なくなっているので、田んぼの中に入り本当の意味で、体を動かしての学習になったと思います。

 また、近くの農業高校の女子生徒数名が参加し、今年の田植え作業は一段と華やいだ雰囲気で行われました。「壮・青・幼」の三結合が私たちの会の原動力となっています。

 最近新聞で、農水省の外郭団体「全国農村青少教育振興会」が就農ガイダンスを開いたら、不況の影響で五百人が参加したと報道していました。農業に関心が高まることはよいのですが、なにか割り切れないものがあります。今、日本の農業後継者は一年で二千人から三千人ぐらいしか育っていません。これから先本当にどうなってしまうのかわからず、不安です。

 特に大豆製品は、九〇%以上が輸入に依存しています。コメもガット・ウルグアイラウンド以降、数々の問題がありましたが、本年四月より「関税化」となり輸入量も少しずつ増えてきました。

 きょう田植えに来てくれた子供たちが大人になるころ、日本の農業はどうなっているのでしょうか? 少しでも多くの人たちに、日本の農業の現状と食糧自給の重要性を理解してもらおうと、これからも「コメの会」でがんばっていきたいと思います。


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