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青年座談会
テーマ 若者たちが政治を語る

いろんな人との出会いがうれしい


山田 純子さん(21歳)

 大学2部の史学科4年生です。大学にはたまたま受かったので通っています。そろそろ就職活動を始めようかなと思っています。短大出て転職経験のある友達に話を聞いたりして、就職ってどういうものか、少し考えていますが、不況だから就職できるか心配です。大学に入って感じたのは、大学ってもっと自由なイメージがあったんだけど、広くなくて狭い感じ。

江口 隆二さん(24歳)

 僕は高校に行ってなくて、大学検定試験を受けて5年かかって大学に入りました。でも入学した大学があまりにつまんないし、政治学をやりたかったので、今は別の大学の2部に通っています。昼間はアルバイトしたりして学費を稼いでいます。

佐藤 徹さん(24歳)

 日本労働青年団(JALYC)に参加しています。いまは沖縄問題を中心に活動しています。沖縄には4回ほど行って、戦跡を回ったり、基地をみたりしました。東京でも沖縄県民に連帯することが大事じゃないかなと思っています。


社会の矛盾感じながら育ってきた

■社会に関心をもったきっかけはどんなことですか?

江口 バブルが崩壊したころ、親が離婚して母子家庭になって、たいへんだったことがあって。結婚する制度があるのにどうして離婚がでてくるのか。離婚率が非常に高い、そういうこともおかしいと思ったし、生活していくために苦しかったことから、社会の矛盾を感じた。なんでこういうことになるのかなって、関心をもったことですね。資本主義がおかしいなと思う。お金がないと学校に行けないとか、生活するのだってそうですよね。学校に行くのにお金がないと行けないというのは、これは切実な問題です。

山田 社会に興味をもった直接のきっかけは、たまたま大学一年のとき沖縄のパネル展をやってたんです。それを見にいったことかな。高校野球の沖縄水産の活躍、ラジオのパーソナリティが沖縄出身の人だったというのと重なって沖縄に興味があった。

 自分が育ってきたなかで、いろんな矛盾を感じてきました。高校の時に、父親が勤めていた会社が倒産したんです。でも勤め先がすぐ見つかったんで、よかったんですけど。そういうこともあって、この社会はなんだろうって思った。父親はリストラもされていたんですよ。その時は子供が高校に通っているから、妹も中学生だったので、それはちょっとお断りして無理やり続けたんですが。それでも、また今年あたりから肩たたきが増えているみたいです。父親は五十五歳ですが、いま退職しても年金もない。今後何年も何もせずに生活できないし。そういうことは親とよく話します。

新ガイドライン法がなぜ成立したの?

■いま関心もっていることをお聞かせください。

江口 新ガイドライン法案が強行採決されたんですが、国会の翼賛化、オール与党している。公明党もそうだし。社民党、共産党もいますけれども、政権に入るために、自分たちがイニシアチブをとりたい。政権に入るためだったら、いままでの公約も投げ捨てる。日米安保廃棄だっていっていた党が安保再定義にも賛成してしまう。国民の声を聞いていない。

 新ガイドラインの標的になっているのが朝鮮。日本人が朝鮮民主主義人民共和国についてあまりに知らないし、マスコミもそんな報道しかしないから、みんなもよくわかっていない。恐いとか、ミサイルが飛んでくるとか。国民もそうだし政治家もそうだし、もっとわれわれが平和を求めているんだったら、隣の国のことも知っていかないとガイドライン法案がなぜ通ったのかということもわからない。平和ボケをしているんじゃないかな、日本人は。

山田 身近な問題では就職のこと。それ以外にはガイドライン、盗聴法。新聞をみていても、反対している人がいっぱいいます。軍国主義、徴兵制にもつながりかねないし、背筋が寒くなる。これから十年後が怖いですね。

 いま一番頭にくることは物が高すぎること。私は一人暮らしですので、電車や風呂代なんかすごく高いと思う。生活費は月十万円程度。いまはバイトもしてないので、貯金もなくなりつつある。

江口 一般の新聞だとわからないことがあるから、いろんな団体が出している新聞とか、労働新聞もそうだし、政党の新聞、市民団体が出している新聞を見たり、インターネット、短波ラジオ、いろんな情報を知るようにしています。NHKのBSも見ます。外国のニュースを見ると、その国が日本をどうみているのかもわかっておもしろい。

山田 私の情報源は主にテレビニュースかな。学生の中には、歴史観が違う人=自由主義史観の人もいますが、仲のいい友達とはガイドラインの話や、就職の話、いろんな情報交換をしています。

いまの政治家の感覚はおかしいよ

■政党や政治家にどういうイメージをもっていますか?

江口 自民党は大企業の自由と民主主義を守る政党だと思います。自民党は社会党を瓦解させて労働組合まで巻き込んで、いまは非常にたくみなやり方でやっている。国民を欺いてみんな巻き込んで、そういう意味ではすごいなと思いますけど。僕は政治家になりたい。人びとを幸せに導いていくのが政治家。そういう意味では、いまの政治家がやっていることはそうじゃないね。

佐藤 政治家は主観的には国民のためにやっていると思っているでしょう。ところが、そうじゃないということがわからないというのがすごくあると思う。自民党は、企業の発展が国民の生活の向上というふうに一体化して考えている。ほんとはそうでないよというところがわかってない。

山田 一般庶民と感覚が違う人たちの集団にしか思えない。いま卒論を書くんで国会図書館に何回か行ったんですよ。国会図書館に行く途中に議員会館の前を通った。そうすると皆さん、運転手付きの高級車に乗っているじゃないですか。やっぱりおかしいな。ああいう人が考えているから日本の国がおかしくなっていくのかなって。視点が高すぎて、わかんない。

江口 いじめが大人のなかにもざらにある。これでは子供のいじめがなくなるはずがない。進歩的なことをいっている団体の中にもある。排外主義をやっていたら社会は発展しない、政治も変わらないというふうに思います。

佐藤 いろんな政党がいるけど、基本的な政策までもどんどん変えていく。無責任だと思う。たとえば共産党も「日の丸」「君が代」を容認し始めた。ここまでいくかな。やっぱりおまえもかって感じ。僕らは大学でガイドライン反対の署名をやったりしますが、共産党の人は大学の中でやらない。彼らのやる演説会への動員であって、そこまで落ちている。既成の政党ではだめだな。そんな気分から、石原慎太郎がでてくるというようなこともある。新しい政治勢力が若い人の中に求められていると思います。

江口 学生でも失業者でも悩みをもっている人がどこにいけばいいのかわからない。だから、大衆的な政党にはそういう受け入れ口になってほしい。

佐藤 僕は四月の統一地方選挙で労働党の山本さんの選挙を手伝いました。職安で失業者の人が仲間を紹介してくれたり、いろんな反応があって楽しかった。

江口 僕も手伝いました。選挙カーに乗せていただいて。

山田 私も選挙カーに乗っておもしろかった。ビラ配っていたら「がんばってるね」って若い人にいわれて、ちょっとうれしかった。

政治を見守る一人ひとりの努力が大切

■政治への若者の関心は?

山田 友達の一人に意識の高い人がいて、ガイドラインも考えているし、軍国主義にひた走っているよって、わかりやすく教えてくれる。そこまでしゃべれる友達が少ない。ふだんしゃべっていて、そういう話は出てこない。一人ひとりの中では、これからはすごく政治への関心は高くなっていくんじゃないかな。

江口 関心がある人とない人の両極端に分かれる。関心のない人には関心をもてといってもだめだと思う。だから僕はふつうの会話の中で、労働条件のこととか身近な話をつまみとりながら話をしていくと、関心のない人でも、関心をだんだんもっていくようになるし、そいつが別の友達に話していく…そういうスタンスで友達と話しています。

佐藤 若い人が政治に無関心というのではないと思います。ガイドライン反対で署名をやっていても、反応がすごくいいと感じています。

山田 世の中は少しずつ変わっていくとは思うんです。それは政治を見守っていく、一人ひとりの努力しだいなのかなと思います。変えていこうという意識しだいかなと思います。私もまだまだ知らないことがたくさんあるので、いろんなことに関心をもっていきたいですね。

江口 将来はわからないけど、自分がものを言える立場になりたい。まともな教授陣がいないなかで、教授になったりね。自分がものをいって聞いてくれる立場に立って、自分が正しいと思うことを広げていきたい。

山田 こういう運動にかかわっていると、いろんな人と出会えて、いろんな人の話が聞けるのが、自分にとってもいい経験になっている。それが一番うれしい。

江口 いろんな人と出会えて人脈がつくれる。労働党の皆さんと出会ったのも人脈のおかげ。

佐藤 同じような考えをもっているのは自分だけじゃないんだなとわかることがうれしいね。そういう人たちといっしょに、もっと運動を盛り上げていかなくてはならないかなと思います。


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