990425


税金で1戸5千万円の米軍住宅

どこの国の政府だ?

神奈川県逗子市 森尾 護


 久々に逗子から通信を送ります。

 あの池子米軍住宅もすでにできあがり、多くの米兵とその家族が住んでいます。毎日、横須賀基地に向かう米兵の送迎バスや横須賀基地内の学校へ通う子供の送迎バスが何台も走っています。そのせいで渋滞も増え、米兵が運転する自動車による交通事故も起こっています。

 逗子の繁華街でも米兵と家族による買い物が目立ちます。もっともよく目にするのは百円ショップですが…。

 このように日常生活にも影響が出ていますが、私が頭にくるのは、米軍住宅のぜいたくさと、その費用を政府が出していることです。

 池子の森をつぶして建てられた住宅は八百五十四戸で、建設費は一戸平均五千万円=総額二百二十億円といわれています。このうち二階建て庭付き住宅八十五戸、九階建て高層住宅六棟四百二十戸です。二階建ては三寝室タイプ(百四十五平方メートル)と四寝室タイプ(百五十七平方メートル)、高層住宅は百三十七平方メートルです。ちなみに同じ神奈川に住む友人の県営住宅の広さは、三十七平方メートルです。

 池子には住宅のほかに夜間も使用できる野球場三面、専用テニスコート四面、四百メートルトラックつき競技場、アメリカンフットボール場、サッカー場、消防署、スーパーマーケットなども完備しており、いたれり尽くせりです。日本政府はこれらを「思いやり予算」で国民の税金から出したうえに、修理費まで負担。どこの国の政府なのか、と言いたい。

 最近では、池子の中に米軍の家族のために小学校を建設する動きがあります。市議会では米軍家族のための小学校建設は基地の恒久化につながると反対意見が出されました。もっともこういう意見を言っているのが、米軍住宅建設賛成派だというとんでもない事態になっています。

 そして市長(隣の鎌倉市議から市長になった人物)は、小学校建設と基地恒久化問題について議会であいまいな答弁しかできず議会も揺れています。

 逗子では、これまでの市民運動はなくなりましたが、政治に関心をもつようになりました。地域で何か問題が起これば、すぐに近所の人たちと市に交渉したり、マンション建設問題では業者と交渉したりと、自立的になっています。これも池子米軍住宅建設反対運動の、一つの成果でしょう。

 今、逗子市といえば成人式にじゃんけんで海外旅行をプレゼントするなどの話ばかりが目立ちますが、運動の経験を積んだ市民がいつまでも黙っているはずがないと思います。新ガイドライン関連法案などキナ臭いなかで、また市民はいろいろな運動をつくっていくと感じています。


Copyright(C) The Workers' Press 1996,1997,1998,1999