990405


7ケタ導入で1万人が削減

なぜ労働者だけが犠牲に

郵便局員 篠塚 淳


 郵便局もリストラの嵐が吹き荒れています。七ケタ区分機の導入で一万人の減員、アルバイトの有効活用と称して五千人の減員が強行されるなど、人減らしの真っ最中。「リストラ」というと、「再構築」「立て直し」などと、よい面がイメージされそうですが、なんのことはありません。俺たちの世界では、強制配転、労働強化、首切り以外のなにものでもないからです。なんでもかんでもカタカナを使い、その方がイメージがよいと思うのは大きな間違いです。語感でごまかされているのではないでしょうか。

 さて、「行革だ!」「民営化だ!」と公務員労働者に対する風当たりは強いのですが、しかし、公務員にもいろいろあります。どうも、世間の公務員に対する印象は「事務屋の官僚の高級取り」をいうようです。勤続四十年の定年近い職員でも年収九百万円に満たず、若い職員では年収四百万円にも満たず、しかも泊まり勤務もあり、二十四時間稼働しているというのが、俺たち現業の公務員労働者なのです。

 いま郵便局の現場は、部内犯罪が民営化の口実になるとか、業績が不振で赤字になると、それが民営化の口実にされる。だから世間に民営化の口実を与えないように、民営化問題を再燃させないためにと、さまざまな「取り組み」が行われています。

 「取り組み」といっても結局は労務管理を厳しくし、ノルマを課すことが主たるものなのですが、いくつか具体的な事例をあげると、犯罪防止と称して作業場に監視カメラがつけられたり、売上目標が達成しないからと職員にノルマを課すばかりでなく、「職員一人につき○○○円分切手を買え」と局長が強制するなど、昔なら「職場は大騒ぎ」というような事態が日常となっています。

 こんなことが「民営化阻止」に役立つとは思いませんが、それをいうならばもっと大変なことがあります。たとえば、郵政大臣の野田聖子。大臣室で同窓会を開き宴会をやったと週刊誌にすっぱ抜かれました。現場では酒を飲むな、飲んだら処分と大騒ぎしているくせに、企業でいえば社長である大臣がこれです。

 いま「ダンゴ三兄弟」が流行っていますが、郵政省は東芝、NECの「談合三兄弟」だし、世間に顔向けできないことばかりじゃあ〜りませんか。

 それに、最近CMのやたら多いこと。収益が赤字だということが背景にあるのでしょうが、薄利多売でもない赤字多売で宅急便会社と競争していれば赤字にもなります。そうでなくても天下り機関をたくさんつくって、無駄な経費は膨らむばかりの企業体質なのですから、赤字どころの騒ぎではありません。

 ところが、郵政省も労働組合も宅急便会社との企業間競争に勝ち抜かなくてはならないと公言しているのですから、公共企業体の役割なんて一つもありません。しかも、最近は窓口の二十四時間開設となり、コンビニ状態です。民間企業からいわせれば、早く民営化して自由競争させろというに決まっています。

 他の企業をつぶしてでも競争に勝ち抜くなんていう、こんな価値観は俺たち労働者には相入れないものです。残念ながら、労働組合が労働者的価値観を失っている今、リストラと称する首切りが横行している現状では、労働者が自分の身を自分で守るというのもむずかしくなっているようです。ブリヂストンで起こった事件は、そんな現れであるように思います。


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