990225


所沢市のダイオキシン問題
産業廃棄物が無制限に流入

規制ないことが根本問題

清掃労働者 丸岡 正樹


今日も、わが埼玉県所沢市でゴミの収集をしながら、仕事仲間と出た話。「毎日、マスコミで所沢の話題が出ない日はないね。今月は、ダイオキシン騒動だし、三月には、所沢高校がまた卒業式で騒がれるだろうし、四月にはプロ野球開幕で松坂、松坂と騒がれるだろうし、五月はいったいなんだろう」。

 こんな話をしているところですが、どうして所沢市周辺に産業廃棄物処分場が多いのかというと、東京都に接していて、関越高速道路の最初の出口があるからなのです。

 つまり、東京で排出される膨大な産業廃棄物を処理する、もっとも近くて便利な場所が所沢近辺なのです(ここで焼却などの減量処理をして、灰などはさらに群馬、栃木、茨城、福島などに運ばれ、埋め立てられます)。

 しかも、このことがもっとも重要なのですが、埼玉県は産業廃棄物の総量流入規制をしていません。だから、いくらでも産業廃棄物を持ち込めるのです。

 小渕首相や埼玉県知事が、ホウレン草を食べようが、なんだかんだ言おうが、長年の市民や農民の要求である、この産廃流入規制をしない限り、問題は解決しないのです。

 テレビ朝日で、所沢のダイオキシン汚染が取り上げられ、この騒ぎになっているわけですが、私は非常によいことだと思っています。私の親戚も所沢の専業農家なので、たいへんですが、この騒ぎの方向を間違えなければ、農家にとっても住民にとっても、よい結果になると思います。

 埼玉県の産廃物協会の会長も「消費者はゴミを出す。勤め先の会社もそうだ。その結果、ダイオキシンが出る。それなのに、しわ寄せはわれわればかり。産廃業者は企業から安い処理費を提示されれば断れない。まじめな業者の育成と、企業や住民がゴミの適正な処理コストを負担する制度づくりが大切だ」といっていますが、その通りだと思います。

 所沢だけが大騒ぎされていますが、ダイオキシン汚染は全国的に発生しているといわれています。ダイオキシン調査というのは一件二十万円ほどかかりますから、おかしいと思われる地域でも、そう簡単に調査ができるわけではありません。所沢が騒がれているのは、それだけ市民が行政や企業に対して、全国の先頭に立って闘っているという証明です。

 「所沢に住んでいて、ゴミ収集の仕事をしてるなんて、たいへんね」といわれることがありますが、いつも私は、「闘っているからこそ、注目されるんですよ」と言っています。

 一年後にどうなっているか、また報告したいと思います。


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