990225


「頼りになる」労組にするぞ

早期退職制で中高年を肩たたき

自治体労働者 今井 淳介


 私はある市役所で働く労働者です。ご多分に漏れず、私の職場でも今、行政改革と財政難を理由とした攻撃がかけられています。最近、職場で問題となっているのは、退職金の削減と早期退職・割り増し制度の導入です。

退職金の削減は組合の反対でどうにか今回は見送りとなりましたが、その代わりといって早期退職・割り増し制度が提案されました。当局は「直接本人に話すなど退職勧奨は行わない」と説明していますが、これからどうなるのか分かりません。提案理由の中では「団塊の世代が定年を迎える二〇〇七年度以降、定年退職者が増加することにより、財政的な負担が増大する」と、露骨に狙いを明らかにしているのですから。

職場で話し合いをもつと「最近は違うが、今まで民間と比べてきわめて低い賃金で働いてきた。やっと退職金がもらえると思っていたら削減されてしまう。酷ではないか」「退職金削減も問題だが、この早期退職制度は、われわれ中高年職員を職場から排除する『肩たたき』ではないか」など、中高年職員から怒りや不安の声が出されました。

一方、倒産やリストラで職を失った、働きたくても働けない労働者が増えています。二月十五日号の『労働新聞』の中にも「会社では、よりよい人を求めるため、よりよい人しか受け入れなくなってきました。… 一番大事なこと、人を育てていく努力をじっくりと長い時間をかけて、いっしょに働いていこうと思うことなど、もう考えもつかないのでしょう」という労働者の声が載っていましたが、その通りです。職場の中でも職場の外でも、労働者の分断と選別が進んでいるのです。

最近読んだ本の中に「仕事の遅いもんだって、覚えが悪いもんだっている。人間だからしょうがねえ。どんなやつでも、働けるようでないと、誰だって定年まで働けない。…年寄りや病弱者を職場から追い出したりするのは人間のやることではないんだ」という言葉がありましたが、この言葉ほど今の私の心に響く言葉はありません。

 退職金の問題で当局は「公務員は民間と比べて高い。民間でも早期退職制度をやっている」といっています。しかし、そうでしょうか。民間の労働者が喜んで早期退職制度で会社を辞めていったのでしょうか。違うのです。人減らしやノルマの強化という厳しい職場実態の中で、また管理職から一方的に勧奨された結果で、泣く泣く職場から去っていったのです。

現在、退職金の問題に限らず、私の職場では人員削減や夏期休暇の削減など矢つぎ早の攻撃が続いています。この中で「労働組合は頼りにならない」と労働組合から離れていく人もいます。しかし、私はこういう時ほど、職場の仲間を信頼し労働組合に結集して、この攻撃に対して職場からどう闘うのか、その中で労働組合をどう強化していくのか、そして地域の労働者といかに連帯していくか、考えたいと思います。そして、誰でも定年まで働き続けられる職場をつくっていきたいと思います。


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