990215


「機構改革」で大リストラ

闘う労組つくるしかない

技術系下請け労働者 大野 洋次


 リストラばやりの現在、私が下請けとして働く大企業でも、「機構改革による」ていのよい人減らしが進んでいます。全国ネットのこの大企業は、民営化されて以降、かなりの数の労働者がリストラされました。企業は株式会社に移行して子会社も作り、独占的に膨大な利益をあげてきました。そして、現在の長引く不況、大競争の時代を、さらなるリストラで乗り切ろうとしているのです。

 私が直接下請けとして通う部門は、民営化後にいくつかつくられた子会社の一つで、主に技術関係の現場作業を担当する所です。多くは民営後に出向の形で本体業務から来た人たちです。

 この事務所には、正社員が現在三名いますが、去年まではいま私たちが進めているプロジェクトを、派遣会社から五名の労働者を雇ってこなしてきました。

 しかし、昨年末に全体の予算の都合で派遣会社との再契約が結ばれず、より値段の安い私たちの下請けに仕事が回ってきたわけです。ただし三名の正社員はそれぞれ違う職種を担当しており、私たちが請け負う仕事に直接かかわる正社員は一人だけです。

 ところで、年度末が近づき納期が迫るこの時期に、本社では「機構改革」として大幅な人事異動が始まったのです。今年に入ってからは事務所行くと、この話に話題が終始しています。

 Sさんはこの職場の責任者ですが数カ月前にここへ移ったばかりです。「せっかく来たばかりなのにどうなっているんだ」。Cさんも「この人事でまた慣れない所に飛ばされてまた一からだ」とぼやいています。

 毎日あちらこちらの職場から電話がかかり、またこちらからも電話して「どこになった」「どうなってるんだ」「慣れない仕事のストレスで辞める人もけっこうでるだろう」「上は現場のことは何もわかっていない」という会話が交わされています。

 この数年間で、人事移動に伴って体調を崩したり、病気になって退職をした人もかなりいるそうです。Cさんも夜勤の職種に移った時に体調を崩して入院をしたそうです。

 最近、本社から十人ぐらいの管理職が来て、会議がやられていましたが、管理職自身も担当が変わり、とまどうようすがそばで聞いているとよくわかりました。

 結局、採算を最優先する企業は、労働者の気持ちなど、何とも思っていないのです。

 Cさんが「以前ならこんなことはなかったが、今は組合も闘わないからなあ」と言っていましたが、自分におきかえてみても、労働者の生活や安全を守るには、結局闘う労働組合を自分たちでつくることしかないと感じています。


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