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何の役にも立たない国会議員

底辺の声を国や市に訴えて

失業者の声を聞いて

東京 山崎 直樹


 先日、失業者のAさん(六十歳)、Bさん(五十六歳)と話をする機会がありました。企業のリストラはこれからが本番といわれていますが、すでに高齢者や若者の失業は深刻な段階に入っています。

 失業者の怒りや不満は、いまの政治に鋭く向けられ、自分たちが闘わなければとの思いが強まっているように感じました。読者の皆さんに、失業者の切実な声を紹介します。


 山崎 今一番困っていることは何ですか?

 Aさん 一番の問題は六十歳定年で年金支給が六十五歳、その間の五年間をどうするかだ。退職金を一千万円もらっている人は別だろうが、そんな人は自分のまわりにはいない。三百万円ももらえればよい方だ。

 高齢者には職がまったくない中で、一年間で失業給付期間が切れれば退職金を取り崩すしかなく、すぐなくなってしまう。どう生活設計をたてればよいのか。

 Bさん 国や政府はなにをやるにも高いところから査定し、下の所へは目が届いていない。

 Aさん 国会議員などはわれわれのところへは来ない。国には財源はあるはず。底辺から消費を起こさなければ、景気などよくならない。庶民を救うのが政治のはずではないか。

 Bさん 子供も大きくなり、両親の面倒を女房ばかりにまかせられないので、退職した。一般の施設に預けると月三十万円はとられる。とてもやっていけない。老人が安心して暮らせるようになれば、生活にも余裕ができ、消費も増えるはずだ。高齢者に対しても仕事はつくり出せるはず。

 たとえば国有林が荒れている。材木になる木があちこち倒れていたり、渓流に流木などが散らかっている。放置されている緑を大事にするために、高齢者や体の弱い人には枝打ちや、それを拾う仕事があるし、若い人にはそれを運ぶ仕事などいろいろとある。河川のゴミ拾いをボランティアの人たちがやっているが、高齢者に河川の管理の仕事を与えることもできる。

 Aさん 国会議員も県議も市議もなんの役にも立たない。選挙の時だけ頭を下げ、議員になれば知らんふり。職安も所長が「仕事はないよ、年金で食えるだろ」と平気で言っている。

 山崎 それは問題発言ですね。

 Aさん、Bさん 国民はおとなしすぎるんだ!

 Aさん 私たちの年代は同級生のほとんどが、中卒。高校へ行った人も夜間学校だ。ノートも粗末な物を使うなど苦労してきて、いままた就職難。割の合わない年代だ。組合もあったが紅組と白組(普通の労組と御用組合)の間をいったりきたりの運動会。結局白組にとられてしまった。組合らしいこともやっていない。それでも組合がないよりあったほうがよいが。

 Bさん 国にも県にも市にも雇用拡大の姿勢がまったく見えない。どこかで突破口をつくらなければならない。役人には先駆者になろうという人がいない。もし行政が中心になって雇用創出のための典型ができれば、それがきっかけとなって、全国に広がると思う。

 Aさん 県や市の財源を見直せば、雇用は広がるはず。高齢者は高額な給与は要求していない。一日五、六時間でもいい、働く場所が欲しい。一年間の失業給付が、もうじき切れる。せめて二年間は保証してほしいし、そういう人は大勢いるのだから援助が必要だ。

 職安職員のなかには青紙(給付の最後通告)を渡すとき、もう職安に来ないでいいと言う奴もいる。「仕事がないものはない」と言い放つ始末だ。

 病院に一カ月二回通っているが、医療費の二割負担が重い。医療費十万円以下は控除にならない、馬鹿な法律だ。その他交通費や慶弔金で小遣いがない状況。朝はパンと牛乳、昼はカップラーメン、晩にやっとご飯にありつくという生活だ。

 議員たちは昔の「お侍」、市議三期やれば恩給がもらえるので、それにしがみついているだけだ。市長も国への働きかけをまったくやらない。労働党がわれわれのような底辺の声を、国や市にぜひ訴えてくれ。

 山崎 国や自治体を動かすためにもっともっと声を上げていきましょう。

 Bさん この問題は党派の問題ではない。すべての党が私たち失業者のためになにをやるかを考えなければならない。

 Aさん 市民が国に訴えないといけない。ハローワークは企業や失業者からもあてにされていない。職安の職員は町を歩いて雇用を探す努力をすべきだ。そのための専属職員がいてよいはずだ。

 Bさん 職安は中間の仕事をやっているだけ。仕事を見つけだすことこそ本当の仕事ではないのか。ハローワークにはなにも期待していない。行政が失業者の現状をどれだけ深刻にとらえているのか疑わしい。

 社会も政治も人間がつくるもの。困難でもぶつかってみなければ解決の糸口は見つからない。失業問題はもっと深刻になるだろう。失業者同士が、いろんな相談や話のできる場が必要だと思う。


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