990125


失業者に冷たい横浜市

事情も聞かずに門前払い

自己退職はなぜ免除対象外?

横浜市 福本 康博


 私は、昨年の八月に失業してから、いまだに就職できません。仕事を見つけるのがこんなに大変だとは思いもよりませんでした。先日、雇用保険の手続きをして、今はそれで何とか生活をしていますが、百八十日しか支給されず、早く仕事を見つけようとあせっています。

 今日、区役所に税金のことで相談に行ってきましたが、まったく冷たい対応でした。私は、早く職に就いて、そうしたら税金も払おうと考えていましたが、それもままならず「八月に失業してから職がなく、生活もぎりぎりなので税金を免除してくれないか」と相談しました。

 窓口で「解雇ですか、依願退職ですか」と聞かれたので、「自己都合退職です」と答えたところ、「それでは税金は免除になりません」とあっさり断られました。「どうしてですか」と聞くと、「横浜市では、解雇なら相談に応じるが、自分の都合による退職は受け付けない」というのです。

 確かに私の場合は自己都合退職ですが、事情があります。川崎にある工場の食堂で調理師をしていましたが、会社から「厚木の工場に移ってくれ、勤務は朝七時から」と言われたのです。横浜からはとても通えない時間なのでいったんは断りました。すると、今まではめったに調理場に顔を出さない上司が、時々やってきていろいろ私にいやみを言うようになりました。私は、このままではクビになる。そうしたら退職金ももらえなくなると思い、辞めました。

 退職金がもらえなくなるというのは私の勘違いかもしれませんが、とにかく当時はそんな心境にさせられるような毎日でした。会社としては、私を辞めさせ、賃金の低い若い人に切り替えたかったのです。

 区役所でこんな事情も話しました。いっしょに来てくれた私の友だちも「自己都合退職といってもそれぞれの具体的な事情があって、実際にはリストラと違わない場合も現にある。考慮されないのか」と言ってくれました。

 窓口の職員は、条例の本を持ち出して「依願退職は減免に該当しない」という部分を見せて、頑として受け付けません。さらには「貴方だけ特別扱いはできない」とも言いました。

 私はあきれるやら、腹が立ってしまいました。横浜市は、私と同じように相談しに来る人にこんな対応をしているんだなあと思いました。何とかしてほしいという思いで相談するのに、事情も聞かずに門前払いです。

 隣の川崎市では、今回の私のような場合、失業した理由が解雇であるか自己都合であるかを問わずに相談に乗り、実情に合わせて判断すると聞いています。自治体によってこんなにも対応が違うのはどういうことでしょうか。

 「何とか税金を払わなければ」とずっと思っていた私の気持ちも、役所の対応で変わりつつあります。(九九年一月十八日)


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