先日、周辺事態法などの危険性を訴える街頭署名に、参加する機会がありました。あまり署名は集まらないのではないかと思っていましたが、予想以上に集まり、「けっこう集まったね」という話になりました。
例年の師走なら、繁華街は人が多すぎて混雑するし、みんな買物をしこたまかかえているので、署名に協力してくれる人は少ないものです。
でも今年は、人通りもさほど多くないし、買物袋を持っている人も少ない。やっぱり、みんな同じように生活が厳しくなっているんだな、ということを感じました。
署名活動をやっている私にとっては、市民の反応がよいと感じるわけですが、みんな自分の日々の生活と政治がわかちがたく結びついていることを、こんな情勢の中では実感しているみたいです。
さて、生活が厳しくなっているのは、人ごとではありません。私は、樹脂型という金型加工の零細工場で働いていますが、八月ごろから仕事が回ってくるのが少なくなって、定時でも時間をもてあますことが増えてきました。当然残業も減って、手にする賃金も月四〜五万円は確実に減りました。
また、以前にも増して、同業の会社の倒産が増えています。私の職場が部品加工の仕事をやっていたなら、とうの昔につぶれていたでしょう。
仕事が少なくなると、金額の善しあしなどいっておれなくなります。必死の思いで得意先を回り、仕事をもらってくるのですが、その結果として、低い賃金でむちゃくちゃ残業をしなくてはならないということになります。今度の年末年始も仕事に追われて、おちおち休んでおれなくなりそうです。
バブルがはじけてから、年ごとに厳しさが増しています。景気の明るさが見えはじめたなどと役人がいっているようですが、現場ではまったくそんな気分はありません。
今までと同じような経済のしくみで、よしんば「回復」しても、それはいっそうの合理化、人員削減、賃金カットしかもたらさないことを、多くの仲間がはっきりか、うすうすか、気づいてきたのではないでしょうか。
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