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書籍紹介

若者に平和の大切さを教える

最後の特攻隊員 2度目の「遺書」

信太 正道著


 信太正道(しだまさみち)氏が「最後の特攻隊員 二度目の遺書」という本を書き上げた。

 信太氏は四五年七月五日に神風特攻隊古鷹隊に指名された。そして訓練が続く中、八月十日に「遺書」を書くようにすすめられ、一度目の遺書を書く。やがて敗戦となり、幸運にも一命を取りとめる。

 その後、信太氏は海上保安庁に入り、朝鮮戦争で機雷の掃海に従事する。航空自衛隊、日本航空パイロットなどを経る。

 この経歴だと軍国少年がそのまま成長しただけのようだが、戦争の恐ろしさ、愚かさを知った信太氏は、新たな生き方を見つける。

 住んでいる逗子市での池子米軍住宅建設反対運動では、中心を担う一人となり、建設反対派の県議候補として選挙にも出る。

 現在もゴラン高原PKF違憲訴訟原告団の代表として精力的に行動している。今も各種の平和集会などで、よくその顔を見受ける。

 信太氏は「特攻隊で遺書を書くことをすすめられたが、検閲されていたので本当のことは書けなかった。最近、戦争賛美の風潮が高まっている。何とかしなければとの思い」で、書き上げたという。

 藤岡信勝や漫画家の小林よしのりの自由主義史観についても、「戦争当時の少年が雑誌などで軍国少年に染められたことと重なる。小林よしのりは『無邪気な軍国少年』としか見えない」と、その批判も明快だ。

 この本は、最後の特攻隊員として、五十年前の事実にそって書かれており、それだけに重みを感じる。

 新ガイドラインや関連法案など、危険な動きが強まっている今、戦争の現実を知るために、多くの人に読んでほしい本である。(Y)

発行・高文研
定価・千八百円


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