981025


会社をクビになって半年

食料品の高騰が追い打ち

食費削って家計やりくり

元パート労働者 麻生 陽子


 長引く不況の影響は、人ごとではなく、私の家庭にもじわじわと及んできました。

 私は今年の春まで長く、小さな建設関係の会社で仕事をしていました。事務所で雑用をこなすといった仕事でした。しかし、今年の三月、仕事がなくなり、社長はじめ職人の人たちも事務所でダラダラと遊んでいるという日が続きました。私がこれまでこなしてきた雑用もその職人の人たちがやるので、私が必要なくなり、「しばらく休んでほしい」と言われました。

 社長や社長の奥さんも、「仕事が忙しくなったら、また来てほしいから。その時はよろしく」と言ってくれていました。奥さんとは仲良しなので、たまに「元気にしてる」という電話をくれますが、「来てほしい」という言葉はいまだにありません。

 仕事がなくなった直後は、暇なこともあって、いらぬことばかり考えたりして、精神的にも不安定になったりしました。奥さんの話によると、地方から来ていた何人かの若い職人は、田舎に帰ったそうです。

 知人の紹介で、いくつかの会社にも面接に行ってみましたが、四十歳を過ぎた私を一目見るなり、「若い人が欲しい」ということであっさりと断られてしまいました。

 そんなことで、私のパート収入は半年以上ゼロのままです。これまでは、私のパート収入から、老後の貯蓄をしたり、家計をやりくりしてきたのですが、三月からは貯金もできず、逆に貯金を使わざるを得なくなっています。

 家計でまず削れるところといえば、やはり食費です。これまで十キロ六千円のコメを買っていたのですが、七月から遠くのスーパーに自転車で出かけ、十キロ二千八百円のものに変えました。子供たちにはかわいそうなのですが、二、三日間、同じおかずで夕食をすますということもあります。美容院もなじみのところから、安いところに変えたりもしました。

 そういう努力をしてきたのですが、先月来の集中豪雨や台風の影響で、野菜やコメが高騰。スーパーに出かけても、何を買っていいやら、頭を抱える毎日です。洪水で大きな被害を受けた地域の友人が、「農家の人たちも大変なのよ」と電話で話していました。

 近くの大手スーパーも売り上げが大幅に減少しているとのことで、十月に入ってから、朝七時の開店になりました。夜は九時まで営業しています。誰が朝七時から買い物に行くのかと思うのですが、影響は近くの商店におよんでいるみたいです。

 このスーパーの近くの酒屋さんが急に店を閉じてしまいました。このスーパーは、お酒類も豊富に扱っており、安売りを展開しているので、たぶんその影響で店を閉じたのだと思います。

 ニュースを見ると毎日、暗い話が流れています。この不況、何とかならないものでしょうか? 何かおかしいと思うこのごろです。


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