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残業減って10万円も減収

「雇用か賃上げか」迫られる?

労働組合は元気だそう

自動車部品工場 富岡 久雄


 私は、自動車部品をつくる工場で働いています。最近の自動車業界は、不況の影響でトラックや商用車が売れなくなっています。大衆車はまあまあで、売れる車種の部品をつくっている工場は、まだいくらか景気がいいようです。

 私が働く工場はトラックや商用車の部品を多く生産しているので、全体的に仕事量が減り、残業や休日出勤がなくなってきています。それでも一部には、残業三時間とか、土曜日の休日出勤を行っている部門もあります。そういう忙しい部門に、仕事のない職場から配転され、慣れない仕事で労働災害が出たりもしています。

 残業が多すぎるのもいやですが、なくなるのも困ります。残業がなくなり、手取りが十万円くらい減った仲間もいます。年間でみれば、百二十万円の減収になります。

 仕事量は少ないところで安定している状況で、本工は増えていません。そのかわり、軽作業に従事する女性パートさんが増えています。本工を減らして人件費を抑えようということでしょうが、安い時給で本工と同じような仕事をしているパートさんもいます。

 最近、職場では品質管理がうるさくいわれるようになってきました。親会社の要求が厳しくなってきたせいです。生産性もあげなくてはならないし、品質にも神経を使わなければなりません。先日、品質の不良が出て、大問題になったこともあり、みんなピリピリしています。

 自動車業界は世界的な再編劇が展開されており、親会社も生き残りをかけて、安くて品質のいい部品を手に入れたいと必死です。

 いま円高が進んでいますが、私たちの職場に直接関係してくるのは、半年くらい先になります。半年単位で円のレートを見直して、そこで受注をとっていますので、来年の春には深刻な影響が出てくることが予想されます。

 国内総生産(GDP)がマイナスでもあり、来春の賃上げは最悪になるんじゃないかと、今から心配です。賃上げは全体的な流れがあり、職場の労働組合だけでは解決できません。

 今年の賃上げは、組合始まって以来の低回答でした。トヨタ、日産などの大手自動車メーカーが低ければ、部品メーカーはそれに輪をかけて低くなってきます。

 こういう厳しい状況ですから、来年の春闘では、経営側は「雇用か賃上げか」といっそう迫ってくるにちがいありません。

 労働組合の力を発揮しなければならない時がきています。低迷している労働運動が、元気になることを期待しています。


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