980925


戦争手引書が「ガイドライン」?

でたらめなマスコミ用語

神奈川・ロクスケ


 九月二十日付の朝日新聞の二面に、「テポドンで応酬」という記事が載っていた。その中で日本、北朝鮮、米国、国連と四つの見解が表示されていて、興味深かった。

 中身は、ミサイルか人工衛星か、軍事目的か科学技術推進か、という程度の話なのだが、この三週間にアメリカの見解が、『人工衛星』であると認めるようになって、それに慌てて日本の見解を合理化しようとするいきさつが分かって、面白かったのである。

 これは政府の見解のことだが、私たちに情報が届くときは、どうしてもマスコミの報道として知らされるわけだから、マスコミがこれをどう伝えたかのほうが気がかりである。

 この新聞報道の頃までのNHKは、実にはっきりと「北朝鮮のミサイル」と繰り返し報じている。

 「マスコミなどというものは、いつの時代も為政者の意のままに動かされているのさ」と言ってしまえばそれまでだ。だが、毎日まいにち見聞きさせられているマスコミの、その言葉づかいの一つひとつが、世論を動かし政治を決めるわけだから、少しムキになってこれをやっつけようと思うのだが、どんなものだろうか。

 先の「北朝鮮」なる用語も、本来なら「朝鮮民主主義人民共和国」でなければならないし、「北朝鮮」と呼ぶならば「大韓民国(韓国)」は「南朝鮮」である。例の「らち事件」はなんの証拠もないということで、「らち疑惑」という用語が織りまぜられるようになった。

 そういえば、例の「日米防衛協力のガイドライン」は「ガイドライン」という表現に短縮されて使われているが、これなどは「War Manual…戦争手引書」が正式の呼び名である。

 今まさに法制化しようとしている「周辺事態法」は「戦争協力への国民総動員法」そのものではないか。

 少しさかのぼって、九〇年代の湾岸戦争では、「国際貢献」という言葉を政府が使い、これをマスコミは大々的に宣伝した。以前、北米でのタンカー事故の時の、あの油まみれの水鳥の映像を、まるでイラクの仕業として繰り返し世界に流したのと時期を同じくしてのことであった。

 だが時間がたつにつれて、「国際貢献」とは「日本が米国のキンチャクになる」ことがはっきりしてきた。もっとも、さらに古くは「自衛隊」は「軍隊」であるし、「特車」は「戦車」なのだが、政府は言葉でカムフラージュし、マスコミはそれをもっともらしく伝えてきた。

 そこで、提案がある。全国の皆さんが労働新聞社にこの種の用語を集めて、ミニ辞典「マスコミ用語・これが本当の意味」などをつくれば、運動の強い味方ができるのだが、いかがなものだろうか。


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